中国アリババのジャック・マーが女性スタッフ比率の低下が業績低下をもたらしていると強く警告
世界女性創業者大会の中で、アリババのジャック・マーがグループとしての女性比率の低下についてかなり踏み込んだかたちでのメッセージを出しました。今季で引退する彼の思惑はどこにあるのでしょうか?
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女性スタッフ比率と企業の存続期間は比例
昔はスタッフの半数が女性でしたね。一週間前に私たち上海市の郊外で会議を行ったのですが、アリババグループとして足下でいくつかの企業を買収した結果として、スタッフにおける女性比率が急激に低下していることが話題に上がりました。
リーダー層に占める女性の割合は34%でまだ良いのですが。
2019年8月28日に世界女性創業者大会の席上で、阿里巴巴(Alibaba:アリババ)グループの董事会主席である馬雲(Jack Ma:ジャック・マー)はグループ全体としての女性スタッフ比率の低下について、危機感を持っていると話しました。女性スタッフ比率のKPIについて下限を33%としたとのことです。
これからの未来30年、人の能力を決めるのは筋肉とエネルギーではありません。知恵と体験です。体験の時代において女性はますます秀でることができます。なぜなら男性に比べて女性は、共感力が高く、人のことを理解でき、サポートすることが自然にできるからです。
私たちは、ビジネスをする際に男性が数値を重視し、女性は体験を重視することが分かりました。数値に体験を加えることにより成功の確率はより高くなります。
ジャック・マーは、淘宝網(Taobao:タオバオ)で女性店主の数が男性よりも30%多く、淘直播(アリババが提供するEC直結のショートムービーアプリ)の中で放送を行う主体の80%が女性であることを例に挙げ、これからの時代は体験の時代であり、その主役が女性であるとしています。
ショートムービーの世界で顔面偏差値が勝敗を決めるという意見があることも理解しています。しかし、実際には紹介する商品に対する理解や、顧客に対する洞察力など、大変な努力を重ねることで顧客からの支持を得ることができるのです。
ジャック・マーは以前にも「女性スタッフがいなければ今のアリババは存在し得なかった」と話しています。そのアリババグループの女性スタッフ比率が下がっていることに対して彼が危機感を持つのも当然と言えるでしょう。
女性スタッフ比率について下限値を33%とするKPIを設定しましたが、昔のアリババは半数が女性だったのです。女性スタッフ比率の減少は、アリババグループとしての成功の終焉を意味します。女性がアリババグループに成功のチャンスをもたらしてくれたのです。女性の支持があるからこそ、アリババグループはアリババグループ足り得るのです。
もう一つ面白い現象があります。個人的な観察の結果なのですが、女性スタッフ比率は企業の存続期間と正の相関があるのです。アリババ創業当初は男女のバランスが非常に良い状態でしたが、成長するにしたがって男性エンジニアの数が増えました。同時に我々の成長率も減速傾向となりました。
なぜでしょうか?男性エンジニアが多数入社して以來、ロジカルな問いが会社の中に増えました。理性化されたということですね。極論すれば体験や感覚についての問いが置いてきぼりにされたということです。男女バランスが良かった時には、我々はロジックよりもまず先に顧客のことを感がていました。それがアリババとしての強さだったのです。
今季で引退をすると宣言しているジャック・マーですが、ここに来てアリババグループ全体に対する割と強い警告のようなメッセージを発していると受け止められるようにも思います。