とある機会で腾讯(Tencent:テンセント)、阿里巴巴(Alibaba:アリババ)のエコシステムについて考える機会がありました。この2つの違いについて、自分なりの考え方をメモがてら雑然と起こします。

で、いきなり結論からですが、テンセントはクローズで近い部分によったコミュニケーションが価値の源泉にあり、アリババは中国における物流・小売機能も含めた”買い物”が価値の源泉にある。双方は、この価値の源泉でユーザーを拡大し、メディア化したところで”決済”機能を保有し、生活に欠かせないものとなった、というところでしょうか。

アリババは中国という広大な面積を持つ国家の中で、物流・小売機能を補完するという、ある意味どの国でも発展途上に生まれるレガシーな業態としてスタートしています。荒野の中で”モノ”をやり取りすることを補完するというのは、極めて分かりやすいニーズを捉えたものと言えます。

一方で、テンセントの源泉はチャットツールの”QQ”です。オープンに繋がれる要素はありましたが、基本的には(ネット上も含めた)知り合いとのプライベートなやり取りを個別に行う機能を提供しました。そして、それはWechatとなった今でもあまり変わってはいません。今ではニュースなどを読むツールにもなってはいるものの、基本的には”コト”をやり取りすることを中心に据えた会社であると言えます。

アリババは”モノ”を売り、テンセントは”コト”を売る。
分かりやすさで言えばアリババに軍配が上がりそうです。

アリババは”モノ”に対する未充足な欲求に価値をつける。これは資本主義の原理原則であり、未充足な欲求を顕在化させるためのメインツールは”広告”となります。もちろん、広告で興味を惹いたモノのQCDがしっかりしているということも重要ですが、欲望を顕在化させられなければそもそも何も始まりません。

アリババのエコシステムは、面展開での広告リーチから始まり、決済、信用スコアまで繋がる一連のエコシステムをしなやかに繋いで提供しています。広告透過量が増えれば増えるほど、一定のコンバージョンによって得られる対価は増えていく。”モノ”を売ることは非常にシンプルです。

一方で、テンセントの価値の源泉は”モノ”によって交換可能な価値=テキストをやり取りするのではなく、個の考えやモノの見方などのいわゆるコンテキスト、ここでは”コト”と読んでいますが、それをやり取りすることを媒介します。

コンテキストはお金と交換することはなかなか難しいのです。個の視点やモノの見方が異なるので、それに即した体験を交換可能な価値として提供すること自体に矛盾をはらんでいるのです。端的に言えば、個を理解してくれているのは親しい関係性であって、そこにはお金が介在しにくいということです。

ということで、成熟度の高いテンセント型のプラットフォームで商売となるとなかなかスムーズには行きません。テンセント上で広告を出すことの効果が低いのはこの点についてテンセントが十分に理解・配慮していることの現れでもあります。

テンセントの収益の大半がゲーム事業から得られていることは、皮肉にもそのエコシステムとしての価値の源泉がお金を生み出しにくいところにあることを雄弁に語っています。個の体験として一番分かりやすいのは、個がいかようにも楽しみ方を工夫できるゲーム空間であることは否定できません。

テンセントが任天堂と組むのは必然なのです。
分かりますか?このアナロジー。

アリババはリア充の世界。テンセントはオタクの世界観です。

興味があれば具体的にお声がけください。
議論しながら深めていきましょう。