中国の伝統的ピアノメーカーが芸術教育企業をM&A、中国の同分野はゴールドラッシュ
2019年12月17日の夜に、海倫鋼琴は全額出資子会社である海倫芸術教育投資有限公司(以下”海技投”とする)を通じて、上海聯焉が持つ海倫新天の39%の株式を5,865万元で取得することを発表しました。
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海倫鋼琴の関係者は報道陣に対して次のように答えています。
今回の動きは芸術教育プロジェクトに関するものです。このプロジェクトは伝統的なピアノ教室事業を補完し、同時に同事業の普及を拡大する作用をもたらす位置づけです。
海倫新天が持つ芸術能力についての評価モデルは、弊社が展開する芸術教育プロジェクトに関する事業に対してとても親和性が高く、弊社の長期戦略として重要な役割を果たすものと考えております。
遡ること2002年、中国国家教育部は『学校芸術教育工作規程』を公布し、芸術教育が学校教育における実習科目として重要な位置づけであることが定義されました。
中国が国全体として”文化強国”化を積極的に進めている昨今、国家全体のマクロ的な視点と、家庭というミクロな視点の双方で教育分野に関する投資は年々増加しています。シンクタンクの調査によれば、2018年の中国における芸術教育業界の市場規模は838億元となっており、2〜12歳の人口が2.2億人も存在する中、今後の発展空間は非常に大きなものと見込まれています。
さて、海倫鋼琴は伝統的なピアノメーカーです。2014年に文化・教育分野への事業展開を行った後は、伝統的な製造業から芸術分野における教育サービス業への転換を進めてきました。
このM&Aがクロージングすると、海倫鋼琴の芸術教育事業における年間の売上高は約2億元となります。マクロ市場の規模からすれば微々たる存在でしかありませんが、企業関係者は、今後の急速な事業拡大に向けての足がかりはできたとのことです。
https://note.com/hideoteramura/n/n9b22a74548d4
上記のリンク先にもあるように、中国の芸術系の情操教育分野は急拡大しています。中国人の子供に対する教育投資は日本人には考えられないほどの強い意欲に支えられています。幼少期の教育について、日本にはまだ一日の長があるように考えています。一方で、中国の同分野に対する投資は国内だけでなく、世界各地にM&Aというかたちで広がっています。
日本人で中国の教育分野に進出しようという方があまり出てこないのが不思議でなりません。