アリババ出資ITスーパー盒馬鮮生の消費期限改ざんに見られる中国リスク

事件の全貌

”盒馬鮮生”上海区大寧店での消費期限改ざん

2018年11月15日に中国の最先端IT食品スーパー”盒馬鮮生”の上海地区大寧店において、一人の消費者が隣にいるスタッフがにんじんの包装に貼られている消費期限タグを本来の期限よりも先の日付に繰り延べて付け替えているのを発見したことがことの発端です。

2018年11月9日や10日が本来の期限であるものについて、2018年11月15日のタグに付け替えており、最長で6日間の改ざんを行っていたということになります。

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店舗マネージャーは消費者の懐柔を試みるも失敗

メディアによれば当該店舗のマネージャーは、一連の事実を発見した消費者に対して、タグを貼り替えていたのは外部にアウトソースしているスタッフであり、消費期限についての知識がなかったと説明し、その場で1,000元を渡す代わりに通報を取りやめることをを提案したが、受け入れられませんでした。

結果として、2018年11月19日に上海市当局が調査に入ることとなりました。

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”盒馬鲜生”CEOは謝罪、上海地区総経理を解任

”盒馬鲜生”CEO候毅 氏の2018年11月21日付のweibo

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その後、2018年11月21日に”盒馬鲜生”CEOである候毅はweibo上で、上海地区の責任者を解任したことを発表(実名は公表されず)。消費者に謝罪をすると同時に、全ての店舗に対する内部調査の実施、更にはサービス検査員を新たに募集することを表明しました。

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中国最先端ITサービスに潜む人的リスク

”盒馬鲜生”とは?

アリババも出資しているITを活用したオムニチャネル(O2O)型の食品スーパーで、専用のモバイルアプリと連動して店内・店外でシームレスな食品購買を行うことが可能です。

自宅からアプリで配送も可能、店内で気に入ったものをアプリで注文し家に届けてもらったり、その場で購入して調理してもらうことが可能で、全ての決済もモバイル上でのAlipayで完結することができる話題の店舗です。

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中国リスクは人的リスク

それでもこのような事件が発生するのは、タグを付け替えるような単純なオペレーションの一部をまだ人が担っていること、更には食品でしかも生鮮という厳しい業界における業績に対するプレッシャーが店舗単位でかかっていたということなどが理由として考えられます。実は従来の食品スーパーでも普遍的なことです。

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トップ主導での迅速なリカバリー

一方で、事件が発生して当局が介入した後、24時間が経過する間もなく、CEO自らが中国最大のSNSウェイボー(weibo)上で謝罪し、直接上海の責任者の解任や、今後の商品管理体制についての具体的な策を消費者に向けて打ち出していくところは、SNSでの炎上がもたらすリスクを鑑みての現代中国らしい対応です。

上海地区の責任者については解任とだけ発表し、実名を公表しないあたりも中国風の”大岡裁き”的な要素が見られます。

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