中国ECの超新星”併多多”からアーリーステージの投資家が退出
2019年10月13日にPDDの親会社である杭州埃米网络科技有限公司の登記内容に変更があり、林芝腾讯科技有限公司と高榕资本のパートナーである张震が株主から抜けたことが分かりました。
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成長力は抜群だが、利益獲得能力について懸念
杭州埃米网络科技有限公司は2015年4月にPDDの共同ファウンダーの一人である孫沁を法人代表、最大の投資家を陳磊として設立されました。この会社はPDDの実体である上海寻梦信息技术有限公司の支配株主です。
株主から退出した林芝腾讯科技有限公司は文字通り腾讯(Tencent:テンセント)グループの関係会社です。2018年6月6日時点の情報によると、林芝腾讯科技有限公司の持株比率は8.9%, 今回同時期に退出した张震の持ち分は10.2%でした(しかし、今回の持分比率変更直前には0.1%まで減少しています)。前述した大株主の陳磊が87%を保有し、残りの4.4% を共同ファウンダーの孫沁が保有していました。
张震はPDDの董事(取締役)でしたが2019年7月の時点でその職務から降りています。PDDの董事は彼を含めて6人でしたが、NASDAQの規定でPDDの上場一周年のタイミングで董事を5人に減らすように要求されたことを受けた動きと見られていました。
张震は高榕资本のパートナーですが、高榕资本はシリーズAのタイミングでPDDに対して投資をしており、シリーズCで投資をしたテンセントグループと比べて非常に早いタイミングであると言えます。当時の出資について张震は、PDDの共同ファウンダーであり現在も董事をの一人である黄峥の先見性とそのチームの執行力に中国新ECの可能性を見たことがアーリーステージに投資をした大きな理由であるとしています。
2019年上半期における中国EC大手である拼多多(PDD:ピンドゥオドゥオ)の売上高は118億元(約2,000億円)で前年比189%と成長を続けていますが、営業赤字、最終赤字の状態であることに変わりはありません。
PDDは今回の資本構成の変更は、企業としての正常な運営の範囲内にあると公式に声明を出していますが、その背景にはPDDのブランドイメージがなかなか高まらないことに業を煮やした投資家の判断ではないかと言われています。四級、五級といった中国の発展におけるフロンティアを開拓して成長してきたPDDですが、偽物が流通しているという生活者側の認識も含めて、利益獲得能力について懸念が示された形と言えるのではないでしょうか。
阿里巴巴(Alibba:アリババ)グループのC2Cサイトである淘宝網(Taobao:タオバオ)もたどってきた道と言えますが、中国のECは一筋縄ではいかなそうです。