Alibabaカー? 上海汽車と共同でスマートカー開発の共同ファンドを設立

Apple car,  Google Carに関する記事が注目されていますが、中国の”インターネット・カー”もかなりヒートアップしています。出てくる名前が、インターネット企業だけにとどまらず、上海汽車集団や北京汽車集団の名前もパートナーとして登場するのはかなりダイナミックな動きです。いくつかの記事をまとめていますので、ご覧下さい。

 


 

2015年3月12日に上海汽車(SAIC)集団とアリババグループは共同で、5億元ずつを出資し10億元(約200億円)の「インターネット・カー・ファンド」を設立し「Car on the Internet」の世界を打ち立てることを発表した。アナリストは、インターネット技術の急速な発展に伴い、自動車業界の閉鎖的で保守的な環境が徐々に変わりつつあり、インターネットとの融合を目指す大きなトレンドができてきたと分析する。異なる業界のトップが手を組むことによって、自動車とインターネットの融合に風穴を開ける可能性が出てきた

 

更に、今後両者が共同で出資をして会社を設立し、YunOS(アリババグループが提供するスマートUX/UI)車載システム(YunOS for Car)や、専用のハードウェアやプラットフォームによるサービス、クラウドコンピューティングやビッグデータに関するプラットフォームなど、関連するコア技術を開発していく。まだ、具体的な両社の分担については明らかにはされていない。

 

YunOS

 

インターネット・カー市場のチャンスは巨大

アリババのCTOである王堅は、インターネット・カーは人々のコミュニケーションのあり方を変えると同時に、将来的には車と車、車と道路、車とインフラとのコミュニケーションを可能とすると言う。人、車、道路、インフラの4軸の連携は、無人運転技術を実現するための基礎となるだろう。マーケットリサーチ会社のSBDの予測によると、将来5年間で、全世界でのインターネット・カー市場は、390億ユーロとなり、2014年の200億ユーロの約2倍になるとされている。

 

中国はインターネットが急速に発展していると同時に自動車大国でもあるため、世界的に見てもインターネット・カー市場にとっては重要な位置にいる。ABI Researchによると、車の中で消費者のニーズを満たすという車載市場はこの10年間で成長し続けており、2005年から2013年まに車載ネットワークを利用するユーザー数は5万から50万ユーザーにまで成長し、2015年には1,000万ユーザーになることが見込まれている。

 

上海汽車集団とアリババ

 

両巨頭の協業によりインターネット・カーの発展を目指す

両社が設立したインターネット・カー・ファンドはオープンな形式を採用、インターネット・カーへの多くの賛同者を惹きつけることが目的だ。報道によると、最初のインターネット・カーは2016年にデビューするとされる。

インターネット経済の時代において、業界を超えた融合は必然的な趨勢だ。上海汽車集団のチーフエンジニアである程惊雷は、インターネットは自動車における基本的な属性となり、ユーザーが車を所有し、サービスを受ける際の弱点だったところをチャンスに変えることになる、と述べた。

 

両社の協業は単なる製品改革にとどまらない

前述したように、実際には2014年7月にアリババグループと上海汽車集団はインターネット・カーに関する基本合意書にサインをしている。ただ、この協業が「アリババのUX/UIと上海汽車が保有する自動車との”足し算”」にとどまらないという見方をする人は少なくない。

「携帯電話業界に革命が起こったのと同じように、”アリババ・上海汽車インターネット・カー”は世界レベルでの自動車開発、生産、販売モデルを変革する可能性があります。」とは、アリババグループのコミュニケーション部門の総監である願建兵の言葉だ。自動車業界の識者によると、「マーケティング・セールスについては、今までとは異なる新ブランドの採用や、ECでの自動車販売形式の積極的活用なども考えられます」とのことだ。

 

楽視CEOの張昭
楽視CEOの張昭

 

チャンスを狙って蠢動するプレーヤーたち

インターネット・カーへの興味を示しているのはアリババだけではない、楽視(Letv:中国版Netfilx、動画配信サービス)は既に自動車に関するプロジェクトを立ち上げ各方面の専門家をリクルートしているだけでなく、楽視の独自開発とパートナシップ方式との両面戦略を採ることが暴露されており、その相手はなんと北京汽車集団とされている。

 

更に、百度も「無人運転自動車」の構想をアリババや楽視以上に強く打ち出している。百度の董事局主席である李彦宏(ロビン・リー)が2015年の全人代で打ち明けたところによれば、百度の無人運転自動車はR&D段階にあり、自動車部品を中心とするサードパーティと共同で研究を行っているそうだ。百度のR&Dの対象は地図、画像処理と人工知能などのソフトウェア方面に集中していると言う。

 

今後注目されるその他プレーヤー(業界筋情報)

自動車:比亜迪(BYD)、金龍汽車
自動車部品:均胜電子、亜太股份、華城汽車
車載システム:天澤信息、起明信息、四維図新

 

出所

中国証券網, 北京商報, 大洋網

 


 

編集後記

最初、ひとつの記事を読んだ時にはハイプだなと思いましたが、いくつか関係する動きを合わせてみると非常に面白く捉えられるようになりました。ポイントを要約すると下記のようになります。

  • 自動車側ではなくインターネット側がリードしている
  • しかも、自動車・部品側が積極的に協業している(Apple, Googleと異なる)
  • 出資も含めてオープンプラットフォームである
  • 異なるアプローチからそれぞれのチャンピオンが参入している
  • 商品開発だけでなく販売までのプロセス改革でもある

これは、日本型とも欧米型とも異なるアプローチだと思います。日本型はトヨタが、欧米型はインターネット企業(Apple, Google)が圧倒的な力を持っており、一方的なリーダーシップを発揮していますが、中国の場合はインターネット系と自動車系企業が、お互いの強みをプラットフォーム上に持ち寄る形態を採っているところが特徴的です。
 
更に、インターネット企業についても、それぞれ異なる強みを持つチャンピオンたちが、それぞれの強みを活かして自動車にアプローチしていることです。AlibabaはYunOSによるUX/UIやECプラットフォームを、百度は「中国大脳」に代表されるクラウド+ビッグデータ処理を、楽視はエンターテイメントと車載の融合を、というような形です。進化論的に言えば、非常に多様な生態系の中で、面白いものが登場する可能性は他のモデルよりはたかくなるはずです。
 
もっと面白いのは、自動車の開発プロセスに対する革命を起こす可能性があるということです。アリババや百度はその開発スタイル自体が非常に核心的で、物凄いスピードで消費者のニーズに答える高速かつ精度の高い修正アプローチを行ってきます。リリースしてから修正していくスピードに特徴があります。自動車業界は安心・安全が命綱ですが、開発プロセス側からその理想を守りつつ、プロセスに対する革新をもたらす可能性は十分にあると思います。非常に楽しみです。

 

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