上場後中国アリババを超える規模となり得る?!アリペイを運営する謎の企業
アリペイ(Alipay)運営会社の企業価値はなんと5.5兆円
2015年7月3日にアリペイ(Alipay)を運営するAntgroup(蚂蚁金服)が初めての公募増資を行うことを発表しました。Antgroupの企業価値は450億ドル(約5.5兆円)と見積もられています。アリペイの今後2年以内の目標はモバイル決済手段のリアル店舗への普及で、目下のところ13万の小売店と、90万台のタクシーに導入されています。日産の市場価値が5.8兆円、キヤノンが5.3兆円です。有利子負債分が含まれていないことを割り引いて考える必要はありますが、ものすごい価値であることを感じられると思います。
そもそもAntgroup(蚂蚁金服)とは?
日本人にはその存在をあまり知られていない企業です。簡単に紹介します。
- 2013年にアリペイの運営会社である”浙江阿里巴巴(アリババ)電子商務有限公司”を母体としてマイクロファイナンスサービス企業の設立し、アリババグループにおける金融サービスをスピンオフした独立法人の形態を採用することを宣言。その後、準備期間を置いて2014年10月16日にAntgroupとして資本金は12.3億元(約246億円)で正式に設立。
- 出資者は”杭州君瀚股権投資合伙企業”と”杭州君澳股権投資合伙企業”の2つで、どちらも事業投資組合。アリババグループの董事局主席であるジャック・マー(馬雲)は前者の出資者であり、陆兆禧や彭蕾などのアリババグループ高級管理職は後者の出資者。
- Antgroupの40%はAntgroupとアリババグループの社員全体に対するストックオプションとして、残りの60%は戦略的投資者に割当てることが計画されています。
- そして規約によって、ジャック・マー(馬雲)は、当該企業の持株比率の7.3%を超過することを禁じられています。
アリババグループとの関係は?
このように、法律上はアリババグループとAntgroupには出資関係はありませんが、実際にはジャック・マーを始め、グループの高級管理職が個人として出資している形となっています。また、ジャック・マーが提唱する”プラットフォーム+金融+データ”というフレームワークの核心部分を握る会社として位置づけられています。また、業界専門家によるとAntgroupの上場後の規模はアリババグループを上回るものと見られています。更に、Antgroupの執行部はアリババグループの設立時のメンバーが多く占めています。
2016年4月にIPO予定
Antgroupは2016年4月にIPOを予定しています。今回の公募増資で調達した資金は、リアル店舗に対するアリペイのカバレッジ拡大のために投入されるとのことです。
編集後記
ジャック・マー(馬雲)はソフトバンクグループの影響から金融部門を切り離すために、Antgroupを設立したと言われています。実際、Antgroupの価値がアリババを上回るとなると、以前からそこにジャック・マーが目をつけなかった訳がなく、納得もできます。上場後の2014年11月初旬に当時の為替レートで29兆円を記録したアリババグループの時価総額が、ソフトバンクの時価総額を支える形になりました(孫さんもそのことには触れていますし、孫さん自体の投資家としての慧眼を体現したということです)。
現在、約5.5兆円とも言われるAntgroupの企業価値ですが、公募増資後2016年4月のIPOを控え、年末までに地道かつ積極的なAlipayなどのマイクロファイナンスサービスの普及に力を入れることになりそうです。来年4月までに楽しみな動きです。