中国の6月18日は”618”と略され、EC大売り出しの日です。6月18日は京東(JD)の設立記念日であったことに由来しています。11月11日の”双11”と並んで、小売業やブランドオーナー企業にとっては上半期の一大イベント、アリババが”史上最強の618”を謳っています。

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双11並みの投資により3億の新規ユーザーの獲得が目標

越境EC関係者が沸き立つ618ですが、5月16日に阿里巴巴(Alibaba:アリババ)のマーケティングプラットフォーム事業部の総経理である家洛がメディアに向けて天猫(T-Mall)上でのキャンペーンの概要について說明しました。

今年のT-Mall 618に向けたキャンペーンについて発表するプラットフォームは私たちが最後になりました。私たちが発表した後で、他の全てのプラットフォームはキャンペーンの内容を変えてくることでしょう。

彼が発表した内容を要約すると、

  • 618の期間に3億の新規ユーザーの獲得が目標
  • ”双11”と同レベルの戦略的投資を実行
  • 具体的には6月1日から18日までにT-Mallでは毎日10商品に対する1,000万元分のセール、100商品に対する100万元分のセールを計画
  • 5,000万点の新商品投入(ブランドオーナーにとっての今年度の核となる商品の80%が投入される)

ということになります。

2番目に示したセール商品の1人当り購入単価を100元として計算すると毎日200万人のユーザーを獲得することができ、このキャンペーンだけで18日間で3,600万人を獲得することが見込まれます

2018年にT-Mallが新規に獲得したユーザーは1億で、その77%が消費力の低い層からのものであり、アリババとしては将来の潜在顧客層と見て戦略的キャンペーンにより獲得することを意図しています。

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アリババの肩に米中貿易戦争に対するプレッシャー

T-Mall 618キャンペーンにより毎日10万商品に対するセールが行われ、それは江蘇省、浙江省、広東省、福建省などの数万件に上る生産工場に対して3億ものオーダーとなって届きます。中国経済が様々な要因から中長期的な調整局面に入っている現在、製造業にとっては大きなインパクトをもたらすことにもなります。

米中貿易戦争のさなか、華為(Huawei:ファーウェイ)はトランプ政権からGoogleを巻き込んだかたちで狙い打ちされ、京東(JD)もトップの劉強東のスキャンダルによりパッとしない中、馬雲(Jack Ma:ジャック・マー)と張勇(Daniel Zhang:ダニエル・チャン)が率いる中国ECの巨人アリババに中国経済への期待がプレッシャーとしてかかっていることが伺い知れます。

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拼多多に侵食される将来の潜在購買顧客への先行投資の意味合い

一方、沿岸部大都市圏では耐久消費財は行き渡り、嗜好品へ目が向いている生活者にとって消費のための購買活動は一段落していると見られ、今回のようにボトム層の消費者に焦点を当てて、将来の潜在購買力へ投資するかたちでのキャンペーン実施は非常に中国的であると言えます。

中国の経済発展は沿岸部から内陸部へ、雁行型に伸びていくため、沿岸部で消費の爆発が終わったとしても、内陸部にはまだ物欲を満たしていない消費者がものすごい規模で残されています。拼多多が成功しているのもこの層をターゲットとしているためです。アリババとしては追いかけられている拼多多に対してカウンターパンチを浴びせる絶好のチャンスなのです。

アリババについての記事はこちら

拼多多に対する記事はこちら

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