日本の百度がこっそり死亡 | 日本撤退後1ヶ月以上誰も気づかないという悲劇

百度

百度が日本における”検索エンジン事業”について撤退していたことが「判明しました」。なぜ、面倒くさい言い方をしているのかと言うと、実は今年2015年3月16日時点で日本での検索事業のWebサイトであるbaidu.jpは既に閲覧できなくなっており、そのことを百度の日本サイトにて3月10日付で公式発表していた(下記)のですが、誰も気づかなかったのです・・・。

2015年3月10日付の日本検索事業撤退のリリース

このことについて一部の記事では「こっそり死亡」などと揶揄されていますが、それらの記事がポストされたのはこの4, 5日であり実質的な撤退後1ヶ月以上の間、日本のメディア、国民から完全に無視される形となっていたという訳です。

1,400万ダウンロードと言われているスマホ用日本語入力アプリであるShimejiなどの他事業については今後も継続することとされています。今回の日本での検索事業撤退については、モバイルやO2O事業へのリソース集中ということが理由とされているようですが、実際にはYahoo!とGoogleの牙城を崩すことができなったことが最大の理由でしょう。百度が日本に進出したのは2007年、2008年の二段階ですが、百度にとっても最初の海外進出であり、経験が無かったことも大きいと思われます。

世界的な検索エンジンのモンスターはGoogleですが、そのモンスターが検索エンジン市場でトップを取れていないのは5カ国しかありません。百度がトップである中国はもちろんのこと、その他は、ロシア、韓国、チェコ、そして日本です(厳密に言えば台湾もそうですが、中国に含めましょう)。この点についてGoogleの副総裁であるHarry Wuは次のように述べています。

主要な論点は、なぜ日本がインターネット革命に乗り遅れたのかということです。この点と日本の強力な産業・社会インフラとは全く関係がありません。日本国民は非常に保守的な行動を好む民族なのです。新しい物事に対して探索していく興味と勇気に乏しい国民性が、このインターネット時代においても強大な企業が現れない理由です。Yahoo!があればそれで良いのです。他に素晴らしいサービスが出てきたとしても関心を持ちません。Googleは日本でYahoo!と長年の苛烈な競争をしていますが、市場シェアは20%から変わりませんでした。直近ではまあ少し改善して10%ポイントほど伸びはしましたが。

痛烈な言葉ですが、日本の今の閉塞感はここに集約されているような気がします。日本でルールブレイカーとしてインターネット業界で世界に羽ばたいていくのはどこなんでしょう。大きなところではやっぱりLINEになりそうですね。ソフトバンクは事業会社というよりは投資会社として考えた方が良さそうですし、メタップスさんとか面白い会社はあると思いますがLINEも含めてスピード感が出ないのは、政策・規制もありますが、新しいものに対してどうしても保守的になりがちな国民性の問題は大きそうです。

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