リサーチファームのCanalysが2019年第1四半期でのスマートスピーカーについてのレポートをまとめ、同時期に全世界で2,070万台が販売され対前年同期比で131.4%と驚異的な伸びを見せていることが分かりました。日本人には想像しにくいと思いますが、その半数が中国ブランドで占められています。

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わずか1年ほどで世界の半数を占めるに至った中国勢

上記がCanalysがまとめた2019年第1四半期(〜3月31日)におけるグローバルでのスマートスピーカーの出荷台数とシェアです。

日本人の大半の方には馴染みがないと思われますが、AmazonやGoogle, Microsoft以外に百度(Baidu:バイドゥ)、阿里巴巴(Alibaba:アリババ)、腾讯(Tencent:テンセント)、小米(Xiaomi:シャオミ)など中国勢も参入しています。

世界で2,070万台を出荷したスマートスピーカーですが、その内1,060万台は前述した中国ブランドで占められています。シェアにすると51%となります。更に対前年比で500%と猛烈な勢いで成長しています。中国勢がこの市場に参入したのは2017年の第3四半期に集中しているため、わずか1年ほどで世界の半数を占めるに至ったというのは、中国市場の規模の力を見せつけられたということでしょうか。

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すでにスマートフォンについては、トランプ政権のやり玉に上がっている華為(Huawei:ファーウェイ)や小米を始めとして、OPPO, vivoなどがシェアをリードしている国は少なくありません。中国ブランドが認知されている国際市場において同ブランドのスマートスピーカーが積極的に買われたと考えることは妥当ではないでしょうか。すでに中国ブランドの力は中国市場だけに依存したものではなくなっているのです。これはファーウェイの今後のリカバリー戦略のベースになるものとも考えられます。

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インターネットエコシステムを取り巻く覇権争いの火種は世界レベルへ

一方、急速にシェアを奪われているのはAmazonとGoogleです。スマートスピーカーはあくまでも入力端末であることを考えれば、その入力に対してどのような価値が提供されるかが重要であり、それは系全体、すなわちエコシステムの豊かさに由来します。

最も多様なエコシステムを持つGoogleはその点有利であると言えます。Googleとしては自らのエコシステムを閉じるという禁じ手が残っています(これは本当にインターネットの世界の終わりを告げる大事件だと思うのですが、別の機会にまとめます)。ファーウェイはその弱点をつかれた形です。

AmazonにとってもAlibabaのECエコシステムは概念的には驚異になりますが、Alibabaがグローバル展開できていない現状を考えると、中国から撤退し巨大市場を諦めたAmazonの戦略は賢明であると言えるかもしれません。

いずれにせよ、ハード、ソフト、アプリを一体開発している企業がAppleだけという状況の中、Android陣営は独自OSを持たなければいつまでもアメリカ=Googleのエコシステムを閉ざされるリスクを持ち続けけることになります。逆説的ではありますが、中国は12億人以上の人口の中で閉じた系を作ることが可能であり、世界で唯一この状況と戦えるのかもしれません。

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