中国空調の王 格力(グリー)の株式6,800億円譲渡の説明会に百度も含めた25もの団体が参加

格力電器(Gree:グリー)の株式が6,800億円分譲渡され、地方国有企業から民営企業に転身をすることが決まっていますが、その譲渡希望者を集めた説明会が行われ25もの投資ファンドが集まり、その中には百度も含まれています。それだけグリー株が魅力的で注目を集めているのです。

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百度も含めた名だたる投資ファンドが名を連ねた説明会

2019年5月22日に格力電器(Gree:グリー)が中国の珠海市にある本社にて同社の株式の一部に対する買い取り意向者との面会を行い投資ファンドを中心に25もの団体が参加しました。

参加団体の中には、博裕資本、高瓴資本、百度、淡馬锡控股、厚朴投資、金石投資など、M&A業界では非常に経験豊富で知名度の高い投資ファンドも含まれていました

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格力集団によるグリー株放出の背景

グリーの親会社である格力集団が第三者に対してグリーの株式を譲渡するのは、珠海市の国有資産監督管理委員会(SASAC:国資委)の意向によるもので、国有企業の一部民営化の流れの一つであることは以前に書き起こしているので、詳しくは下記をご覧ください。

中国空調の雄”格力電器(GREE)”の持ち株6,800億円分を珠海市が売却意向

1991年の創業以来、珠海市の国有資産監督管理委員会(SASAC:国資委)の傘下にある格力集団に所属してきた、すなわち地方国有企業として存在してた空調の雄、”格力電器(G…

簡単に說明すると、2019年4月8日にグリーの大株主である格力集団が公開募集方式でグリーの15%の株式を放出することを発表し、売却価格は4月9日から30日間をさかのぼった株価の加重平均値とすることを公表したのです。この結果、販売価格は一株当り45.8元となり、総額は424億元(約6,800億円)と計算されます。

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株式買い取りにおけるストラクチャー

売り出された株式に対する買い取りは香港に所在するSPCと国内ファンドをビークルとして実施されるものであり、前者には海外投資家が、後者には中国国内投資家が参加するかたちとなります。

更に国内外の銀行によるレバレッジローンも組まれるとされてており、そのレバレッジ率は30~50%(2〜3倍)とされていることも分かりました。イグジットは2023年、売却の完了は9月までかかると想定さされています。

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正式な譲渡開始はまだ、今回の説明会はあくまでもグリーの事業についての說明まで

グリーは現在このM&Aに対応するチームを組成中で、当該案件に関するアドバイザリー企業を募集しており、具体的な株式譲渡についての条件の取りまとめを行っている最中とのことで、正式な譲渡開始にはまだ一定の時間があると予想されます。

今回の買い取り候補を招集した意図は、グリー自体の収益性と適法性について詳細な說明を行い、国資委と格力集団が株式譲渡に対する参加を歓迎する態度を說明するためのものだったと見られています。

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参加した投資ファンドの紹介 | 渦中のARMに投資しているファンドも

博裕投資:

博裕投資は中国国内に投資するPEファンドであり、中国平安集団の元総経理である张子欣と、TPG資本の元中国地区上級管理職であった馬雪征によって設立されています。2011年に第一期として10億ドルを集めたことで知られています。主要なLPはアジアの大型投資家で、その中にはシンガポールの李嘉誠のファンドも含まれている。アリババにも出資していることで知られている。

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厚朴投資:

厚朴投資は2008年に設立された米ドルと人民元による国際PEファンドで、投資先は中国に関する案件とされています。科学技術、不動産、物流、医療、エネルギー、金融など投資分野は多岐にわたります。790億元でシンガポールにあるアジア最大の物流不動産企業のGlobal Logistic Propertiesを買収したことで知られています。

また、このタイミングで特筆すべきは、厚朴投資がARM中国の株式を保有していることです。グリーの董事長である董明珠は2018年にメディアの取材に対して、

半導体チップの開発に注力しており、500億元の投資を恐れていては将来に渡る継続的な発展を支える革新的な技術を獲得することはできない

と話しています。

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PERで見れば割安だが、当期純利益額を超える投資リスクをどう見るか?

2018年の財務報告によれば、グリーの当期利益は262億元、2019年第1四半期における現預金は1,133億元、想定売却価格の45.8元を前提としたPERは10.1倍で、ここ3年での業界平均である14.5倍に対して相当に低いと言えます。

本業の空調機器・設備についてもグローバルで高いシェアを獲得しており、中国市場での成長も見込むことが可能です。非常にお買い得な買い物であると言えます。25もの投資ファンドが買い取り意向を示していることも納得できます。

一方で巨額の独自半導体チップの開発は大きなリスクをともなうことも事実であり、この点をどう見極めるかが今後のグリー株を占う上でのキーとなるのではないでしょうか。

国有企業による民営化の推進については下記にまとめています。

中国空調の雄”格力電器(GREE)”の持ち株6,800億円分を珠海市が売却意向

1991年の創業以来、珠海市の国有資産監督管理委員会(SASAC:国資委)の傘下にある格力集団に所属してきた、すなわち地方国有企業として存在してた空調の雄、”格力電器(G…

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