日本の百貨店でも目にすることが多い高級ブランドD’URBAN, Aquascutumが既に中国資本となっていることをご存知の方は少ないのではないでしょうか。イギリスやフランスの伝統的ブランドを傘下におさめていく中国のアパレル帝国企業について紹介します。

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中国のアパレルコングロマリットがD’URBANやAquascutumを完全子会社化

2019年6月25日、深セン証券取引所に上場する如意集団は重大な資産の変更を暫定的に停止することを発表、済寧如意品牌投资控股有限公司(以下:済寧如意)の株式100%を取得し、済寧如意と北京如意時尚投資控股有限公司(以下:北京如意)を完全子会社化しました。

如意集団の親会社である山東如意毛纺服装集団股份有限公司(以下:山東如意)はアパレルに関するブランド・サプライチェーンを完備し、グローバルブランドプラットフォームとして顧客への価値を最大化するとしており、そのために関係会社であった北京如意が保有するGieves&Hawkes, Kent&Curwen, Cerruti1881, D’URBAN, そしてAquascutumなどのグローバルブランドを100%の支配下に置いたということです。

Gieves&Hawkesを例に上げると、1785年に立ち上がった歴史あるこのブランドは現時点までイギリスのロイヤルファミリーと海軍への公式サプライヤーで有り続けています。

2012年にTrinity Limited(以下:トリニティグループ)に売却されたGieves&Hawkesですが、2017年に山東如意がトリニティグループと交渉を開始し、同年11月に22.2億香港ドル(約306億円)で51.4%の株式を取得、正式に山東如意グループ傘下に入りました。

元来、トリニティグループは香港の国際貿易グループである利豊集団(Li & Fung:リーフォン)の子会社で、Gieves&Hawkes, Kent&Curwen, Cerruti1881, Hardy Amies, D’URBANという5つのメンズアパレルブランドと、香港、台湾を含む中華圏全体で350の店舗を保有していました。

今回のグループ内の資本再編によって上場企業である如意集団の中に上記のブランド、店舗資産が取り込まれることとなりました。また、少なくとも4億元(約64億円)の営業増益が見込まれています。

如意集団は”ファッション帝国”を築くことを明言しており、上述した川下系の資産への資本投下の後には、素材、縫製、IT技術へのバリューチェーンの拡充を計画しています。日本ではすっかり元気がなくなってしまったアパレル産業にとっては非常に威勢の良い話です。

D’URBANやAquascutumのように日本のブランドオーナーが中国にブランドを売却する一方で、日本国内での独占販売権を取得するというやり方が主流になっています。バーバリーの国内独占販売権を失って経営が厳しくなった三陽商会の前例もありますから、このやり方が果たして成功するかどうかは判断が難しいところでもあります。とは言え、このようなケースを今後数多く目にすることになることは間違いありません。