先日の記事にて間接的に取り上げた中国最大の総合スポーツアパレル企業”安踏(ANTA:アンタ)”は、フィンランドの同業グローバル大手であるAmer Sport(アメアスポーツ)の全株式を対象としたM&Aを2019年3月29日に完了する予定です(アメアスポーツの日本語プレスリリースはこちら)。買収金額の46億ユーロ(約5,800億円)は驚きの数字と言えます。当該買収案件から安踏という企業を紐解いていきます。

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安踏とテンセント、中国PEファンドなどが共同で買収

安踏と中国のPEファンドである”方源資本(資産規模50億ドル)”、ヨガやピラティスに特化したカナダ発症のアパレルブランド”ルルレモン”の創業者であるChip Wilson、そして言わずとしれた中国インターネット財閥の腾讯(Tencent:テンセント)で構成される財団がアメアの株主に対し、2019年3月13日から3月28日を期限とするTOB(株式公開買付)を発表し、アメア自身が保有する株式を除く94.98%を保有する株主が受け入れたことを発表。これを受けて、アメア自身も自社が保有する残りの全株式を3月29日に安踏に譲渡することを決定し、アメアの全株式が財団に譲渡される運びとなりました。最終的な持ち分比率は4月1日前後に発表されることになっています。

財団によるM&Aクロージング後も、CEOであるHeikki Takalaを含めたアメアの経営陣の変更はなく、現執行体制のまま独立的に運営が継続されることとされています。ちなみに、アメアの2018年第4四半期と2018年有価証券報告書によると、グローバルで過去最高の増収増益を達成したとされています。

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Salomon, Mavic, Suntoなども中国資本に

アメアはフィンランドの首都ヘルシンキで1950年に設立されました。当初は工業系製造業でしたが1960年にスポーツ事業部を設置し、1974年に本格的にスポーツアパレル事業に業態転換、今では世界で名だたるブランドを保有する総合スポーツアパレルコングロマリットです。傘下ブランドは、Arc’Teryx, Salomon, Wilson, Suunto, Atomic, Precor, Mavicなど、日本人にも馴染みのある方は少なくないのではないでしょうか。

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デサントにも出資

約5,800億円という中国でも業界では最高金額での買収案件を仕掛けた安踏は、2009年にFILAの中国での商標使用権と運営権を百麗国際(Belle International:ベル)から3.3億元で買い取ったことが話題となった中国最大手の総合スポーツアパレル企業で、日本のDESCENTE(デサント)や韓国のKolon Sports, イギリスのSprandiなどにも資本・業務提携をするなど、海外企業とのアライアンスによるブランドラインナップと販路強化を積極的に進めています。今回の案件、決して安くはありませんが、2022年の北京冬季オリンピックを見据えて欧州市場への足がかりを着実に掴んだということを考えると、充分な経済性があると踏んだのではないでしょうか。

安踏に関する記事はこちらをご覧ください。日本のデサントが伊藤忠商事にTOBをかけられた件についてもこの会社が絡んでいます。

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