中国アムール川流域でネットでライブ配信をする東北男、そのやり方を党が拡散し地方活性化に
氷で覆われたアムール川の上に4, 5人の男たちがいます。その中の1人、厚手の服に身をまとった男が電動ノコギリで氷をかき分け、その中から網を取り出しています。その網の中には凍結していない川中にいる生きた魚たちです。この光景をインターネットでライブ中継する男は”大成子”と呼ばれています。
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アムール川は黒龍江省を流れます。この地域、冬の寒い時期ではマイナス30度にまで気温が下がります。”大成子”のライブ配信はまさにこの”シーズン”に行われます。
彼の本名は潘玉成、今年で38歳(日本の39歳)になります。彼はこの地域でインターネットライブ配信をおそらく初めて行った男であり、そのフォロワー数はすでに119万人に達し、上述した魚の生け捕りの動画は100万回の再生回数を超えています。そうです。彼は立派な”網紅(KOL, インフルエンサー)”なのです。
彼は友人のアドバイスの下、2016年9月に”蓝莓小镇大成子”というタイトルでライブ配信をスタートしました。彼が暮らすアムール川流域は水産資源が非常に豊富です。彼は妻の沈紅海にスマートフォンで彼が冬季の活動をする姿を撮影させました。
内容は魚を捕獲するだけでなく、氷を食べたり、川の水を飲んだりとなかなか激しいものです。そして、彼はコテコテの東北人であり、東北訛りで弾丸のようにトークをします。こういった特徴が視聴者の心を掴み、これだけのフォロワーを生み出しました。
彼はかつて焼き肉屋を営んでいましたが、その収入は理想からは程遠いものでした。しかし、ライブ配信をすることになり、そこから得る彼の収入は30万元(約450万円)まで達しました。
現在、彼は妻とともに”紅旗人家”という名前の民宿を運営しています。ライブ配信の中で、アムール川地域の文化や自然、特産品などの魅力を分だんに伝えることにより興味・関心を惹いているのです。
彼の成功に着目したのは、この地域の党組織です。彼のやり方をパターン化して、積極的に横展開し、現在では200人以上がこの鎮でライブ配信や動画配信を行うことで広告収入を得たり、自らのビジネスをマネタイズしています。
地方活性化の取り組みは、1人の変人から生まれ、それをしっかりと組織が標準化して横展開していく。非常に中国的な地方創生のやり方ではないでしょうか。