10億ユーザーを誇るアリペイを支える中国アント・フィナンシャル、最終赤字

中国がキャッシュレス大国であることは日本人にも認知されましたが、二大キャッシュレスサービスは支付宝(Alipay:アリペイ)と微信支付(WechatPay:ウィーチャットペイ)です。そのアリペイを運営する蚂蚁金服 (アント・フィナンシャル)が2018年に税引前当期利益レベルで損失を出していることが分かりました。

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2018年の最終損益は戦略的赤字

2019年5月15日に阿里巴巴(Alibaba:アリババ)グループが2018年の財務報告を公開しました。それによると2018年第4四半期のアリババグループ連結での収入は3,768億元でした。アント・フィナンシャルはアリババのグループ会社であり、アリババに特許サービス費用とソフトウェア技術サービス費用を支払っており、その額は同期5.2億元でした。以前に公開されていた、アント・フィナンシャルのアリババに対するプロフィットシェアの比率が37.5%であることから逆算すると、アント・フィナンシャルの税引前純利益は13.8億元ということになります。

同様に、2018年の第1四半期から第3四半期までの税引前当期純利益は-19.0, 24.27, -27.27億元となり、通期で5.2億元の損失であることが分かります。

これに対して、アント・フィナンシャルの公関部に属する張司南は、

2018年の最終損失計上は”戦略的”なものであり、M&A, 海外市場開拓などへの投資活動によってもたらされたものであり、グローバルでユーザーは急速に増加し、アクティブ率も高い水準を保っています。

と話しています。

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グローバルユーザー数は10億人、中国でのシェアは48.3%

アント・フィナンシャルがアリババグループとして提供するアリペイのグローバルにおける2018年12月31日時点でのユーザー数は10億人です。腾讯グループが提供するウィーチャットペイを支えるプラットフォームである財付通(Tenpay:テンペイ)と合わせた中国国内におけるシェアは93.2%、内数としてのアリペイが48.3%です。アリババ陣営はテンセント陣営に対してわずかではありますが数値上は優位に立っていると言えます。

また、マーケットからは最後の大物として上場期待の声が上がっていますが、アント・フィナンシャルはメディアに対して、上場の計画は今のところ無いとしています。

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アリペイ手数料収入依存から技術サービス収入企業への転換も順調に進む

アント・フィナンシャルの収入は金融サービスと技術サービスの2本で成り立っています。金融サービスにはアリペイの手数料と消費者向け金融商品(”余付宝”等)の手数料です。戦略的には技術サービス企業への転身を謳っており、2015年には技術サービス収入比率が14%であったものが2017年には34%まで順調に増加しています。そして2021年には技術サービスによる収入が金融サービス収入を超えると予想されています。

天猫(T-Mall)や淘宝網(Taobao:タオバオ)という巨大ECプラットフォームを提供するアリババグループ。そのエコシステムの根幹の一つである決済プラットフォームを提供するアント・フィナンシャルは10億人のユーザーの購買力だけに支えられているのではなく、テクノロジーを活かしたサービスによる収入も堅調に増加させていることが分かります。

一方で、それができたのもアリババグループがECの世界で誰よりも先に市場を支配したということと関係があることも間違いありません。まさに”先大後強”を地で行くアリババグループ、今後はそのエコシステムの質をいかに高めていくかに焦点があたっていきそうです。

アリペイについての記事はこちらにまとまっています。

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