中国ではザリガニのシーズンが到来、出稼ぎ農民のザリガニUターンも出現

中国ではザリガニを食べます。特に暑い時期にアツアツのザリガニを香辛料とともにビールで流し込むのです。雑菌の問題や洗浄工程における洗剤による害についてなどネガティブな話題もありますが、消費意欲は相変わらず旺盛のようです。

当然ながら、ザリガニ長者もいるようで、安徽省の農村もザリガニ景気で潤っているようです。安徽省のとあるザリガニ市場の様子から見ていきましょう。

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中国安徽省のとある鎮でのザリガニ取引市場の様子

2019年5月22日の早朝、67歳の姚華農はオート三輪に乗って仲間と赤鎮(安徽省滁州市)のザリガニ市場へ向かい、朝5時に収穫したばかりのザリガニの水槽を台の上に置きます。どれも活きが良く、水槽の中で盛んに動き回っています。

「今日はいくらになるかい?」

と姚華農が聞と、

「デカいのであれば1匹13元、小さいのは9元だな」

と市場の仲買人は答えました。

「また値下がりか!」

値下がりした価格には不満な様子を見せながらも、姚華農はテキパキと計量台に持ってきたザリガニの水槽を載せると結果は65kg。1,800元を受け取った姚華農は破顔一笑しました。

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値下がりしても最後は笑顔の理由

姚華農は安徽省滁州市全椒県二郎口鎮曹埠村の農民です。この村の大部分はザリガニ養殖業に就いています。実際にザリガニ長者も多く、姚華農はその中の一人だ。彼と仲間は18ムーの養殖水田を継承し、毎年のムー当り生産量は150〜200kgで粗利にすると4,000〜5,000元、水田合計で6〜7万元の粗利を手にすることができるのです。

ザリガニの養殖は清明節(中国のお盆で4月の上旬)に始まり、1回あたり50kgほど、1週間に3, 4回の収穫を行う。今年は気温が低い日が多かった影響で収穫時期が遅れた。

価格も昨年に比べると安い。昨年は500gあたり15元ほどだったのが、今年は12〜13元、小さいもので8〜9元で売れたものが今年は6元ほどでしか売れないよ。

と姚華農は言います。

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江蘇省、湖北省からも買い付けがあり、最終消費者は上海にも

足下の市場価格は低迷していますが、ザリガニ市場が冷えいていることを意味してはいません。むしろその反対、5月23日の昼下がり、合肥市谷堆にあるザリガニ卸売市場で仲卸をしている王維友の店には顧客が途絶えませんでした。

市場で売れないことを心配したことはないよ。一昨日は15〜20トンが1日で売れたんだ。市場全体で60〜80トンは取引されていて、多い時で100トン以上になることもあるんだよ。

この合肥市にある卸売市場には周辺のエリアだけでなく、江蘇省、湖北省など省をまたいだ顧客も買い付けに来るそうで、最終的には上海で消費される量も少なくなく、毎年の取引量も旺盛だそうです。

昨年の合肥市におけるザリガニの消費金額は21億元、これは毎日15トンが消費されている計算になります。

合肥市のザリガニ協会秘書長の週超はこのように述べています。

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安徽省は省を上げてのザリガニ戦略を実行

合肥市が属する安徽省はザリガニの消費が盛んな地区として有名です。合肥市を先頭に、その他の都市や県、鎮レベルでも広く消費されています。前述したようにシーズンは4月に始まり、6〜8月にピークを迎え、10月に至るまで食卓に上ることになります。

2017年の統計では、安徽省でザリガニ料理を提供する飲食店は1万以上に上り、専業店が1,513店、ザリガニに特化した飲食モールが61, 一年での消費量は5万トンでした。

以前は一年に一度収穫を行っていた稲作農家は稼ぎが多くないため、その多くが都会に出稼ぎに行きました。しかし、ここ数年で故郷に戻り水田でザリガニを養殖し始める人が増えてきました。毎年5〜6月にかけてザリガニのピークシーズンが到来すると、代理買い取りを行う地主の車が水田に列を成して待機するくらいです。

二郎口鎮の党委員会書紀である張勇は言います。結果として、水田面積1ムーあたり2,000〜4,000元の収入増になるということですから、農民が積極的になることにも理解できます。

安徽省は省をあげて、ザリガニ養殖用の水田面積を2018年末の100万ムーから2022年に600万ムーまで拡大することを目標とする計画を実行しています。総収入は720億元にも上るとのことで、20〜30の秋口以降の養殖研究基地も設置し、3〜5の有力ブランドを輩出するなど精力的なゴールを掲げています。

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北京を含めた揚子江沿いとその北のエリアではザリガニを食べる風習が都会でも未だに強く残っています。中国人は全体としてみれば非常に素朴な民族であり、食事についても伝統的、日本人から見れば保守的と感じられると思います。相当なハイレベルの人でなければイタリアンやスペイン料理を日毎に食べるということはあまりなく、出身地の郷土料理を食べ続ける人も少なくありません。

都会での旺盛な消費力が周辺の農村を支える構図は中国の特徴でもあります。安徽省は周辺に江蘇省や浙江省、更にはその先に上海市を持つ長江デルタの後背生産エリアです。これからピークシーズンに向けて、農村の皆さんもザリガニビジネスで忙しくなりそうです。

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