中国の家電企業であるハイセンスのQ1業績が発表され当期利益が前年比90%以上の下落となりました。ハイセンスは東芝のディスプレイ子会社を買収しています。そして、その業績がハイセンスの業績の足を引っ張っています。ホンハイとシャープの関係と対象的です。

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90%以上の減益となった中国ハイセンス

2019年Q1の海信(Hisense:ハイセンス)の純利益は2,679万元(約4億2,864万円)となり、2016年の通期での純利益17.6億元(約281億円)から大幅に下落傾向にあります。2018年はQ1のみ5.5%の増益となった後から今まで加速度的な減益傾向が続いていることになります。

2019年Q1の財務報告では、当期における売上は76.2億元(約1,219億円)で前年比でマイナス2.4%、親会社に帰属する当期純利益は前述の通り約4.3億円となった訳ですが、前年比ではなんとマイナス90.4%と急ブレーキがかかっているのです。

ハイセンスは、2018年の財務報告の中で、ディスプレイ業界における需要のピークアウトが業績に大きな影響を与えているとしており、企業として長期持続的な発展を続けていくためにR&Dへの投資を強化していることが収益悪化の原因となっていると說明しています。

2015年6月からハイセンスの董事長兼総裁となった劉洪新は2019年初に辞職、後任を程開訓に譲りました。理由は公表されてはいませんが、ここ数年のハイセンスの業績不振の責任をとるかたちでの辞任となったと業界専門家は見ています。

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ハイセンス凋落の真の理由

ハイセンス自身が言うところの市況の悪化とR&D投資以外にも業績の急激な悪化に対する理由は2つあります。それは、ロシアワールドカップへの巨額な広告宣伝投資と、東芝のディスプレイ部門の買収です。それぞれについて見ていきます。

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ロシア五輪への過剰広告投資

ハイセンスがロシアワールドカップで協賛金として1億ドル、さらに広告宣伝費投資も含めると約160億円もの資金を投下したと言われています。もちろん、国際的な知名度の向上には繋がったとは言えますが、ハイセンスの財務体質を考えると度を越した投資額であったと言わざるを得ません。

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買収した東芝子会社のバリューアップの失敗

そしてもう一つの理由は東芝のディスプレイ子会社であったREGZAブランドを保有するTVS(東芝映像ソリューション株式会社)の買収です。ハイセンスはTVSの株式の95%を取得するために約128億円を費やしましたが、TVSはコスト高体質であり、現在でも赤字状態、約3億元(48億円)の損失を計上するに至っています。

ハイセンスがTVSを買収した目的は、日本市場への参入と、国際市場におけるハイセンスとしてのブランド力の強化です。しかし、日本の家電ブランドはグローバル市場で凋落傾向にあり、ハイセンスにとって東芝ブランドの価値はそれほど大きくはないというのが市場関係者の見方です。

東芝グループは2016年6月に白物家電に関するビジネスユニットについて80%の株式を美的(Midea:ミデア)集団に売却、2018年6月には半導体子会社である東芝メモリをベインキャピタル率いる日米韓のコンソーシアムに売却、2018年10月にはダイナブックも含めたPC事業をすでに台湾資本となっているシャープに売却しています。重たい事業を切り売りし、ダイエットをはかってきた東芝のディスプレイ部門を引き受けたのがハイセンスということです。

TVSはディスプレイのパネルを内製しておらず、かつバリューチェーンの川上におけるコア部品を持たないため、この買収におけるバリューアップは非常に困難であることは間違いなさそうです。

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シャープで得したホンハイと東芝で損をしたハイセンス

前年比90%の減益と衝撃的な急ブレーキがかかっているハイセンスですが、その背景には東芝が関わっていました。鴻海(ホンハイ)がシャープを復活させ、米中貿易戦争の最中で堅調に利益を出してきていることとは対照的です。

中国での耐久消費財市場は一段落、今後はQOL(Quolity of Life)関連の消費にシフトしていくことになります。耐久消費財の中でも小米(Xiomi:シャオミ)のように体験館の中でモノではなくコト(生活)を販売するようなアプローチの新興勢力も出てきている中で、ハイセンスは旧態依然から抜け出せないのかもしれません。それだけ中国市場の変化が速いということでしょう。

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