魅力的な市場としての中国大陸

中国には巨大な市場があります。貪欲に成長したい日本企業にとっては大きな魅力です。近くて遠い市場と言われている中国大陸ですが、意図的に、意図せずにその距離を縮めた結果、上手くいったケースを聞くことは稀なのではないでしょうか?

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中国側との接触パターン

日本企業から側からアプローチするケース、中国側から距離を縮めてくるケースの2パターンがあります。前者の場合は中国に詳しい仲介者を挟むことが多いのではないでしょうか。また、後者の場合は、元従業員や友人・知人関連など、日本企業当事者にとって身近な中国人が媒介しているケースが多いと思われます。

特に後者の場合、「なぜ、このタイミングで、日本でもそれほど有名ではない我が社にいきなり中国人の企業家(もしくは投資家)から声がかかるのだろう?」と思われる方が多いと思います。

日本企業側から意図的に紹介者を介して仕掛けた場合はもちろんのこと、中国側から距離が縮まってきた場合に、日本企業当事者は少なからぬ高揚・興奮状態に陥るはずです。近くて遠い大陸が近づいた訳ですから。

少し落ち着くということ以外に特段問題はありません。ここまでは。しかし、この先に日本人が陥りがちな落とし穴が待ち構えています。

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中国側からのアプローチの典型的な中身

中国人投資家、企業家から持ちかけられる話としてありがちなこととして、

・中央(もしくは地方)政府の要人と太いパイプを持っている

・そのパイプを元にある地方都市における政府系プロジェクトの利権がある

・そこで日本企業の技術を活用したい

・貴社にリソース補充のための投資をするので最大限に中国で暴れて欲しい

というパターンであったり、

・貴社の商品は中国でとても売れている

・弊社は中国において広範な流通・小売網を持っている

・弊社に貴社の独占販売代理を行わせて欲しい

というパターンがあります。

前者は技術系製造業、後者は消費者向け製造業やブランドオーナーにかかる声の主たるものです。

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リスクとしてその後起こり得ること

前者のパターンの場合、いくら相手方の中国人が政府関係者と太いパイプがあったとしてもその政府関係者の政治的なパワーに変化があった場合にはプロジェクト自体が安泰ではありませんし、プロジェクトの中での中国側投資家、企業家の立ち位置も変化します。突然、「プロジェクトは政府の方針で無期限凍結になった」、「やはり、日本企業ではなくて中国ローカル企業を採用する方針になった」などと通告されることも少なくありません。

出資されたお金が先行投資として溶けて、結果として以前よりも財務状態が悪化した中で資本関係が変わってしまったということが最低限起こり得ますし、その後、中国側の意見に振り回される可能性もあります。

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後者のパターンでも、独占代理権を提供したにも関わらずパフォーマンスが上がらず、その理由を商品やブランドに求め、結果として中国市場の中での自社の価値が毀損するだけならまだしも、日本で培ってきたブランドに傷が付いたり、具体的な被害が生じる可能性もあります。

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中国人の大きな話は信じずに、人を見て、かつ小さな事から始めること

これが寛容です。日本人も中国人も実は同じなのです。日本側は中国人投資家・企業家のする大きな話のスケールを日本であまり耳にすることがないため、興奮状態の中で意思決定しようとします。中国側も彼らのその瞬間における利害のために日本側をあの手この手で口説こうとしてきます。もちろん接待攻勢も含めてです。日本側はそこに乗ってしまいがちなのです。

そこでグッとこらえて、冷静に定量的に考えることが必要です。中国側に悪気はありません。彼らの立ち位置における中長期的な戦略の中で、その瞬間における最適な利害の選択をしているだけです。だからこそ、彼らの狙いを冷徹に見極めることが大事なのです。

そして、疑問に思ったことは素直にぶつけていくことが重要です。そうすると、中国側も日本側が真剣に考えていることがわかり、逆説的ですが信頼関係がより強化されていき、それを続けることで人と人との永続的な関係になっていきます。この過程が非常に重要です。

結果として、当初のビッグプロジェクトではなく、小規模な取り組みから始まることになるかもしれませんが、それこそがお互いのリスクを最小化し、かつ信頼関係をじっくりと作っていく基盤となるのです。

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当事者同士でPDCAを回し続けること

もう一つ、上記の取り組みは仲介者を挟むのではなく、かならず中国側、日本側の当事者のトップ同士で行うことです。もちろん仲介者やエキスパートの存在は欠かせませんが、委ねることはせずに、かつ最終的な意思決定の場には必ず当事者のトップ同士の人と人との関係で実行することが非常に重要です。

相手方トップのプロフィールや趣味・嗜好はもちろんのこと、考え方や価値観、哲学、人間性に至るまで語れないようでは、プロジェクトは上手くいきません。そういった関係を少しずつ構築していくことこそが大事なのです。

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中国側とのファーストコンタクトが終わった後に、最中、もしくは現時点で何の疑問も持ちえないような状態であれば、そのプロジェクトは行わない方が良いということ、あるいは中国プロジェクトを推進していく責任者として自らが値しないということを意味しています。厳しい言い方にはなりますが、ここを間違うと落とし穴にはまることになります。

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