中国アリババの馬雲(ジャック・マー)、CEO退陣時の従業員に向けた、自信と信頼にあふれる激励のスピーチ

2013年5月10日、アリババの当時CEOであったジャック・マーがCEOを退き、会長に就任した際の従業員たちへのスピーチを改めて紹介させてください。1999年、インターネットの黎明期に創業したジャック・マーが、どうしてここまでの成功を手に入れることができたのか、熱く語られています。人を信じること、とりわけ若い人を信じることについて、投資家ではなく実業家としてのジャック・マーの人柄が良く現れています。文章の端々から、熱い人であることがよく分かります。ご一読ください。


全国各地から来られた皆さん、中にはアメリカやイギリス、インドからいらっしゃった同僚たちも含めて、杭州(アリババ本社所在地)に来て頂いたことに感謝します。今日は非常に特別な日です。私はこの日が来ることを長年期待していました。私は全ての友人、同僚、出店者、パートナーの方々に今伝えたいことがあります。

新婦は結婚の当日にただただ笑っている以外何をすべきなのか全く分からないかのように、10年前の今日、中国が最も危機的状況だった当時、人々は「信じる」ということを知りませんでした。人々は未来が良くなるとは思っていませんでした。しかし、わずか10数人の若者たちは「信じる」ことができました。10年後の中国が更に良くなること、10年後のECが中国で更に多くの人々の注目を浴びること、多くの人が利用することを。ただ、10年後に私たちが今日のような姿に変わることを想像することはだけはできませんでした。

この10年間、人々がこの理想を変わらず持ち続けることができたとするならば、たとえ今年のアリババの成果の99%がなくなってしまったとしても、後悔することはないでしょう。なぜなら、これだけ多くの人たちが、信じること、その気持ちを持ち続けることができる、ということができたからです。

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私は、何が今日の私たちをつくったのか、何が馬雲(ジャック・マー)をつくったのか、考えます。実際、私には、アリババとタオバオには、これといって成功する理由はありませんでした。私たちは、長い年月を歩み続ける中でずっと未来に対する溢れる理想を、信念として持ち続けてきたのです。全ての人々がこの世界を、未来を信じることができなかった当時、私たちは「信じること」を選択したのです。10年後の中国はとても良くなることを信じよう、と選択したのです。仲間たちが素晴らしい仕事をする、中国の若者たちが私たちよりもずっと素晴らしく、そういうことを信じることにしたのです。

10年、20年前、私は自分のことすら完全に信じることはできませんでした。CEOをやるということは、本当に難しいことです。しかし、CEOの下で従業員として働くことは更に難しいことです。

お互いを信じることができなかった時代の最中、面識が無い人に対してお金を払うことができるようになりました。この目で見たことがないものを買うことができるようになりました。しかも、その商品は全く知らない人の手によって、あなたの元に届けられるのです。これが、今日の中国が手に入れた信任と信頼です。タオバオでは一日あたり2,400万件の取引があります。すなわち、2,400万の信任が継続的に受け渡されてるのです。

これからも私たちはずっと同僚、仲間です。みなさんは、この時代に希望というものを見せることができたのですから。今日の世界は変化の世界です。30年前の私たちは、今日のまさにこのような状況を、中国が製造業の大国となっていることを、コンピューターは人の心の中に深く入りこんでいるということを、中国でインターネットがこれほどまでに発展することを、タオバオが立ち上がるということを、ヤフーが存在しているということを想像できませんでした。

私たちは、無数の偉大な会社を見てきました。本当にチャンスがあるんだろうか、とも思いました。この10年の発展を通して、私たちは今日まで走り続けてきました。今日、すなわち変化の時代にです。多くの人は変化を嫌います。しかし、変化することによってこそ、素晴らしい未来を手にすることができるのです。多くの人が過去の愚痴を言います。30年前の問題ですら口にします。中国が発展して今日に至るまで、いや世界が発展して今日に至るまで、私たちは過去を変えることなどできないのです。しかし、30年後のことは、まさに今日、私たちが決めることができます。

自分を変える、小さいことからで構いません。

10年続けること、これが一人一人の夢なのです。

アリババの構想・設立から参加して14年、私はとても幸せです。私は一人の商人です。今日、人類は商業社会に入っています。しかし、残念なことに世界の商人はしかるべき尊敬を受けていません。現在、商人は利益だけを追求する時代ではありません。しかし、私たち商人と他のいかなる職業、また政治家、教育家、芸術家の方々とは違いはありません。この社会をより良くしていくことに力を尽くすということなのです。

14年の商人としての経験を通して、社会を理解することができました。続けていくことや、責任、何が他人の成功で何が自分の成功なのかを理解することができました。私たちの最も期待することは、従業員の皆さんが笑顔でいることです。今晩12時以降、私はもうアリババのCEOではありません。明日からは商業は自分にとっては、道楽や趣味のようなものです。ただ、言えることとして、この14年商業に従事してきたことを本当に誇りに思います!

でたらめをやらない、負けない、老いないためには、若い人を信じることです。これらの要素を信じるということは、すなわち若者を信じるということです。私は決してアリババのCEOとして戻ってくることはありません。私が帰ってきても用無しです。あなたたちが、しっかりやってくれているからです。

アリババは社会貢献を始めます。私たちはとても勤勉で、努力をします。しかし、一方で私たちは平凡な存在です。まじめに生活し、楽しく仕事をして、やっと今日それが報われ、多くの報酬として入ってきました。この会社が社会問題を解決することを望みます。この問題は今座っている皆さんのチャンスなのです。

アリババ人(阿里人)は、中小企業に対して今後もずっとサービスを続けていきます。なぜなら、中小企業こそが、チャイニーズドリームを具現化することができるからです。10年前の私たちは「この世の中から難しいビジネスを無くし、中小企業の成長を助ける」という使命を掲げました。今日これから、この使命は皆さんのものとなります。

私の理解では、インターネットは本当の公平をもたらしました。全国各省、各市に聞いてみて下さい。中小企業やスタートアップ企業に税制などの優遇措置を提供しているかどうかを(実質的にしていないでしょう)。一方で、インターネットは、中小企業にとってチャンスなのです。ある企業は3-5年で5-6億ユーザーを獲得しました。中小企業に対して平等であることを呼びかけても、彼らは500元の税制優遇があればそれで十分なのです。アリババ人として彼らをサポートして下さい。彼らは必ず、中国の未来における最大の納税者になります。

皆さん、本当にありがとう。私はこれから、自分が興味を持っている事業をやろうと思います。例えば、教育や環境保護などです。この世界、多くのことについて、私たちは取り組むことができません。好きで、興味がある仕事は素晴らしい結果が出ます。ビジネスで成果を出す以外にも、私たちは中国の環境、水質問題や、大気汚染、食品安全など、改善して行く必要があるでしょう。

さて、いよいろアリババの未来の経営チームを紹介しましょう。私は彼らと長年一緒に仕事をしてきました。彼らは私よりも自分自身のことを良く分かっています。陆兆禧は、13年の経歴があり、多くの職場で厳しい経験を積んできました。13年、たくさん泣いて笑ってきました。馬雲(ジャック・マー)のポジションを継ぐことは簡単ではありません。私がここまで来られたのは、皆さんの信頼があってこそです。信頼があれば、後は簡単です。私は皆さんが新しい経営チームを信頼することを疑いません。

陆兆禧を信頼し、サポートしてください。

私が彼らを信頼しているように。

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