中国火鍋の勇、海底捞の創業者について日本ではあまり多くを語られていません。彼はもともとトラクター工場の溶接工だったのです。テーブル4つから始めたサイドビジネスがここまで大きくなるとは彼も予想していなかったのではないでしょうか。

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4テーブルの麻辣湯屋さんが原点

1994年当時、トラクターの溶接工であった張勇は、故郷の四川省の简陽というところでテーブルを4つ構え、仕事をしていない時間で麻辣湯屋さんを始めました。

私は店舗デザインもできないし、調味料の調合もできない、店の場所も路面ではなく裏側にありました。生き残るためにできることは、少しでも良い態度でお客様に接することでした。お客様に少しでも不満なところがあれば、精一杯の笑顔で対応をしました。開店直後は、店舗運営のコツが分からず、ミスも多く、売上よりもお客様へのサービスにお金がかかるほどでした。

結果ですか?お客さんは私に言いました。味は美味しくない、でも来てしまうんだよ、と。

半年後、張勇は1万元(約16万円)を稼ぐことができました。そして、この麻辣湯屋こそが今では日本にまで進出した中国最強の火鍋チェーンである海底捞(Haidilao:ハイディラオ)の前進なのです。

さて、張勇とその妻の舒萍ですが、海底捞を開業して25年で中国の飲食業界のトップに立ち、その保有財産が1,200億元(約1.9兆円)となり、万達集団トップの王健林の1,400億元に肉迫するとは流石に思わなかったことでしょう。

海底捞は2019年8月21日に財務報告を開示、2019年の上半期における収入は117億元(約1,872億円)となり前年比で59.3%の成長、純利益も9.1億元(約146億円)で同41%成長となりました。この半年で海底捞を訪れた顧客は述べ人数で1.1億人というから驚きです。

この財務報告の開示を株式市場も好感、7.7%もの値上がりとなりました。そして、既に今年に入って既に100%以上も高騰しています。

2018年のフォーチュンランキングによると、張勇と妻の財産の合計で550億元は34位にランクインしています。夫妻は海底捞のスープを開発する頤海国際の株式33.6%を保有しており、海底捞本体の株式も68.6%を保有しています。これらの株式を時価換算すると1,423億香港ドル、人民元にして1,282億元となります。

1,200億元となると、既に小米(Xiaomi:シャオミ)の雷軍や百度(Baidu:バイドゥ)の李彦宏を抜き、1,400億元を保有する王達集団のトップである王健林の家族に肉迫しています。

25年前には溶接工だった張勇、空いた時間にサブビジネスとして始めた飲食店は、サービス第一主義で中国のトップに躍り出たということになります。一人の男として、家族を養う立場として、人生をただでは終わらせない中国人の商売人魂を見せつけられる思いです。