中国ECプラットフォームにおける黄金律

昨日の記事で書いたことをまとめると、日本の消費財メーカーについて、

・中国ECプラットフォームにおける正規品販売量とその中の越境ECシェアには正の相関がある

・公式チャネルシェアと末端小売価格統制度には正の相関がある

・価格統制度が高い状態とは正規価格に対し末端最低価格が70%程度を意味する

・それより低い小売価格で売られているものは模倣品の可能性が高い

ということでした。

あくまでも相関関係であり、因果関係ではありません。さて、上記について考察する前に、現時点での日本ブランドの消費財がどのように中国で売れていくのかについての一般論について振り返っておきます。

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日本ブランドが中国でブームになるまでの一連の流れ

インバウンドを入口とした何らかのきっかけ(芸能人やKOLのパワーのある口コミ)によって商品認知に火がつき、中国で取り扱われていない製品であるため、インバウンド消費、もしくは越境取引が爆発。

結果として、在日ソーシャルバイヤー(代購:DAIGOU)が動き始め、個人レベルでの越境C2C、すなわち全球購(Taobao Global)での取引量が急激に拡大。

上記のようにブランドの火種に火がついた状態を敏感に察知した貿易業者や輸出入代理店、商取引機能を持つマーケティングコンサルなどがブランドオーナーに接触し、独占代理権獲得に動く。

中国での国内流通・販売許可が降りていないにも関わらず、上記の企業を経由して香港ルートを中心として密輸(水貨)ルートで国内にモノが入る。

結果、中国国内C2Cである淘宝網(Taobao:タオバオ)上の個人商店に大量にモノが流れ、販売量が急激に拡大し、販売競争が始まる。

越境系、国内系ともに小売販売料が急激に拡大したことに目をつける模倣品業者が商品のコピーに走り、それが次第に市場に蔓延。既に小売間での競走が激化している中、少しでも利ざやを稼ぎたい欲求に駆られた小売店、末端代理店は模倣品を正規品に混在させるようになる。

結果として消費者が混乱し、市場が荒れ、末端小売価格に下落圧力がかかり続け、正規品を基準とした際に50%程度まで価格が下落。利益が薄くなったブランドオーナーはようやくことの重大さに気づく。

という流れです。先に述べた4つの結論についての悪い側のケースです。

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2019年中国EC法施行の影響

さて、2019年1月1日付けで中国EC法が施行されます。ECプラットフォーム上で小売店を展開する場合には行政当局から発行された営業許可証が必要になります。すなわち、個人での営業はこれ以上できなくなることを法律の文面上は意味しています。

阿里巴巴(Alibaba:アリババ)のプラットフォームで言えば、中国国内C2Cプラットフォームであるタオバオがそれに当たります。中国行政当局が1月1日の時点でその100%を淘汰することは考えにくいですが、弊社の周辺にいる中国エキスパートの意見や、中国メディア上での記事等を総合すると半年程度の時間をかけて淘汰が進んでいくものと予想されます。

中国では、リアルな小売流通チャネルの不十分さをC2CでのECチャネルが補ってきたという背景があります。中央政府もその点については認めてはいましたが、ECチャネルの利用が一般化し、それを支える物流インフラも整ってきた現段階では、質の向上に向かわざるを得ません。品質上最も問題だったのがタオバオに代表されるC2Cでの中国国内ECプラットフォームだったのです。

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タオバオの個人商店が消滅していくということで、残るはすべて法人系のプラットフォーム(T-Mall, T-Mall Global, Taobao Global)ということになります。そして、最終的には中国国内と越境系プラットフォームは統合される動きになっていくと思われます。日系ブランドオーナーにとって、どのような影響が考えられるのでしょうか?先の分析結果も合わせて考察してみます。

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2019年中国ECプラットフォーム上で戦う上での日本企業の勝ちパターン

在日華人に認められたブランドをつくる

大陸にいる中国人は微信(wechat:ウィチャット)や小紅書(RED:レッド)などの口コミアプリによって、在日華人や訪日華人に人気のブランドについての情報を手に入れます。そこが出発点になるので、かならずしも日本人も含めてブレイクしている必要はありませんが、在日華人・訪日華人が爆買いをする状況を発生させる必要があります。ここで重要になるのが在日KOLやソーシャルバイヤー(代購:DAIGOU)です。

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公式ECチャネルによるコミュニケーション

分析結果から分かるのは中国国内、越境を通して公式チャネルシェアが高ければ高いほど価格統制がとれることになります。公式チャネルで値下げを頻発することは考えにくいので当たり前といえば当たり前ですが、一方で公式チャネルを持つことによって、サードパーティの小売店の価格を牽制・統制することが可能です。

また、越境チャネルと全体の流通量には正の相関関係があることから、最低限でも重要な公式チャネルは天猫国際(T-Mall Globl)における公式旗艦店です。プラットフォーム提供者のアリババから課される出店ハードルも高く、ブームのタイミングと同時に戦略的に立ち上げる必要があります。

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そして、2019年最大の注目はTaobao Global

一方で、公式チャネルで市場全体を支配することが難しいことも分析結果から分かっています。公式チャネルで獲得できるシェアはせいぜい30%程度ではないかと推測されます。では、日系ブランドにとって最も物量がはけるチャネルは何かと言えば、それは全球購(Taobao Global)です。

越境チャネルでもありC2C的な側面が強いですが、基本的に出店者には法人格が求められています。ここで売られる価格の下限値は公式ルートを基準とした場合に70%程度とされています。

EC法が施行され、タオバオの個人商店が消滅していく流れにある中で、Taobao Globalチャネルを如何に押さえていくかが鍵となります。既に、日本にある中国に向けたマーケティング系企業はTaobao Global上でのセレクトモール展開に向けて動き始めています。

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上記を統合的にマネジメントすること

そして、最後に。T-Mall Global, Taobao Global, そして今回は触れませんでしたが国内系B2Cプラットフォームである天猫(T-Mall)という3つのプラットフォームについて統合的に立ち上げる必要があります。

また、日本でブームの火種に火をつけて、それを越境チャネルでコントロールし、中国大陸でフォローのコミュニケーションをかけていく、統合型プロモーション戦略も重要になります。

非常に複雑です。このようなマネジメントを日本企業がどのように進めていくべきであるのかについては、明日記事にします。お楽しみに。

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