中国で商品を売るための具体的方法論 -2019年版 その5 最終回-

さて2018年末から複数回に分けて紹介してきた、日本企業にとって中国のECプラットフォームを活用して成功するためのステップについてですが、今回は最終回です。

ステップは毎回紹介させていただいている下記の流れです。

① 在日華人、訪日華人による特定商品に対する爆買いの演出

② 大陸にいる華人がTaobao Global上で上記商品についてのブームづくり

③ 中国本土でT-Mall Global旗艦店のローンチ

④ 中国で複数SKUラインナップ全体でのコミュニケーション

⑤ 中国本土でT-Mall旗艦店のローンチ

今回は、最後のステップである⑤中国本土でT-Mall旗艦店のローンチを紹介します。

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最後の総仕上げとなるT-Mall旗艦店

業法・許認可が適用される中国国内型のプラットフォーム

天猫(T-Mall)は阿里巴巴(Alibaba:アリババ)グループが提供するECプラットフォームの中で、中国国内型のB2C形態のプラットフォームです。天猫国際(T-Mall Global)が越境型で海外の商品について直接中国の消費者に届けるかたちとなっていますが、中国国内型は中国国内で通常の物流・小売網に乗せて販売される形態です。

越境型取引は例外的に個人の取引扱いとされ、中国国内の業法や許認可が必要ないのに対して、中国国内型では厳格に適用されます。すなわち以前の化粧品であればNMPA(旧CFDA:日本の薬事法に近いもの)が適用されるため、SKUごとにパッケージと中身について審査に合格する必要があります。

また、当然ながら越境貿易(海外からの直送)ではなく、一般貿易形態、すなわち海外から中国の空港や港湾に商取引として輸送されるため、行政当局に対して厳格な通関手続きを行う必要があります。結果として、関税、増値税(付加価値税)、消費税(ぜいたく税)が厳格に適用されます。

結果として、個人取引として通関手続きが簡略化されている越境型プラットフォームで売られている商品に対して、国内型プラットフォームでは10%程度高めの末端小売価格になっているケースが多く見られます。

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B2Cプラットフォーム

これは言わずもがなですが、淘宝網(Taobao:タオバオ)がC2Cのプラットフォームで、個人間で取引が行われることが一般的ですが、天猫は基本的にブランドオーナーが公式店舗を出店するためのプラットフォームです。

インバウンドから火がついた商品はタオバオ上でブームが形成されますが、そのうちに模倣品が出回ることの影響も含めた価格競争に陥り、消費者としては何が正規品で、定価がいくらであるのかについて基準を欲するようになります。その際に、錦の御旗となるのが天猫というわけです。

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天猫と天猫国際の違い

③ 中国本土でT-Mall Global旗艦店のローンチ にて天猫国際(T-Mall Globl)について紹介をしましたが、ともにB2C形態のプラットフォームですが天猫は中国国内型であり、天猫国際は越境型のプラットフォームであるところに違いがあります。

天猫国際に出店するためには、中国から見て海外法人であり、海外における商標ベースでの商品登録となります。また、NMPA等の中国国内の業法についても(現時点では)取得する必要がないことから、日本企業にとっては先にこちらへの出店に着手することになります。

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天猫で旗艦店を出店することの意義

天猫国際に旗艦店を出店できたのであれば天猫に出店しなくても良いのでは?と考えられる方もいらっしゃるかもしれません。実は半分正解です。弊社でいくつかのプロジェクトを実施した経験から言えば、錦の御旗としてのこの2つのタイプの公式チャネルでの出店について、天猫国際と天猫はそれほど大きなポーションを占めてはおりません。合計しても全体の小売流通量の30%も行けば良い方です。そして、その内訳としては天猫国際の方が大きいケースが多く、天猫は天猫国際の1/3程度の流通量となります。

しかし、天猫は天猫国際とは異なり一般貿易ルートであり、中国国内にも流通在庫を抱えるモデルですから、公式チャネルとして大量の商品をすぐに消費者の手元に届けることが可能です。これは個人越境取引扱いとなっている越境形態のプラットフォームである天猫国際に対して消費者にとってみればメリットとなります。もちろん、NMPA等の許認可を取得するタイミングとの兼ね合いもあるので、天猫国際よりは半年ほど遅れて商品が販売されることはデメリットになりますが。

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中国政府の考え方と天猫の中長期的な位置づけの変化

中国政府は国内の対消費者向けの流通・小売についての正規化を目指しています。すなわち、中国国内の許認可をきちんと取得した商品が、正規ルートに乗って、正規価格で、正規品として販売され、滞りなく消費者の手元に届くことを中長期的に狙っています。

一方で上記のような理想的な状況になるまでには時間がかかるため、個人越境取引形態でのチャネルが暫定的に認められてきましたが、2019年1月1日に施行された中国EC法に絡んだ動向を見る限り、ようやく理想状態に向けた取り組みに着手された印象があります。

現時点での公式チャネルとしての存在感は天猫国際に分がありますが、いずれはその境目はなくなっていき、天猫に集約されていくのではないかと弊社では考えています。その意味でも、中国国内型のプラットフォームに旗艦店を構え、そのオペレーションを活用できるようになっておくことは中長期的に重要であると言えます。

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まとめ

以上、5回に渡って紹介をしてきた中国ECプラットフォームで勝つための具体的な取り組みについて、いかがでしたでしょうか?

机上で説明すると淡々となりますが、実際には法人登記や商標の問題、代理店の取扱、日中間でのブランドストーリーとマーケティング・コミュニケーションのバランス等々、法規制や戦略・運営の部分について考えるべきことが数多くあります。

中国・中華圏でモノを売ろうとして初めて、上記についての日本で意識することなく売れてきた…ということに気づくこともあるかもしれません。

しかし、そこからは逃げることはできません。中国・中華圏でモノを売ろうとする場合には避けて通れない道なのです。貴社の現状と、ヒト・モノ・カネ・その他必要リソースについてもう一度じっくりと考えてみる良い機会として捉えていただければ幸いです。

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