中国で商品を売るための具体的方法論 -2019年版 その2-

明けましておめでとうございます。日本では元旦がお正月ですが、旧暦を採用している中国では旧正月すなわち春節が一年の一区切りであり、特に季節感もなく、通常運転であることが普通です。そして、中国の2019年1月1日は電子商取引方、すなわちEC法の施行日です。この法律が施行されることによって2019年の中国ECにはドラスティックな変化が起こることが予想されています。政府がどの程度まで厳格に法律の運用を行うのかについては今後の動静を見守る必要がありますが、昨年末に続いて中国EC法施行後での中国ECにおける勝ちパターンについて解説して参ります。

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昨年末に紹介をした中国ECにおける、特に海外企業にとっての勝ちパターンを下記の通り示しました。海外企業の中にはもちろん日本企業も含まれます。

① 在日華人、訪日華人による特定商品に対する爆買いの演出

② 大陸にいる華人がTaobao Global上で上記商品についてのブームづくり

③ 中国本土でT-Mall Global旗艦店のローンチ

④ 中国で複数SKUラインナップ全体でのコミュニケーション

⑤ 中国本土でT-Mall旗艦店のローンチ

昨年末にこちらの記事で①について紹介をしました。本日は②について紹介をします。

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② 大陸にいる華人によるTaobao Global上で上記商品についてのブームづくり

Taobaoで売れていることが人気のバロメーター

①の記事の中で、KOLや在日ソーシャルバイヤー(代購:DAIGOU)、インバウンド客が日本で爆買いをする状況を、目玉商品に発生させるやり方やパートナーの存在について説明をしました。では、大陸で火がつくのはどのような状況でしょうか。

一部の販売機能を持つKOLや、そもそも売買による鞘取りを目的とするソーシャルバイヤーは、中国において淘宝網(Taobao:タオバオ)で商品を販売します。タオバオは個人間でのモノの売買を行うためのいわゆるC2C形態でのECプラットフォームであり阿里巴巴(Alibaba:アリババ)が提供しています。KOLやソーシャルバイヤーの大半は個人で動いているため、タオバオの集客、決済、回収機能を活用することで効率的に売買を行なっていきます。

日本で戦略的な目玉商品に爆買いの火がついた後、大陸で爆発するかどうかはタオバオにかかっていたということになります。2018年までは、です。

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タオバオの劣悪な取引品質の向上を目的とした中国EC法の施行

さて、そのタオバオですが、個人間取引のプラットフォームであるが故に、取引の品質が低いことが問題視されてきました。土地が広く、都市間の発展格差が大きい中国では、全国レベルでの中間・小売流通網の発展に時間がかかりました。上海や北京等のメガロポリスではなく地方都市に住んでいて、そこそこお金も情報も持っているにも関わらず、海外の優れた商品を買うことができない人たちにとってタオバオはその隙間を埋めてくれる存在でした。

結果として中国最大のECプラットフォームになったタオバオですが、当然ながら粗悪品や模倣品を流通されることにより荒稼ぎをするプレーヤーが現れ、消費者だけでなくブランドオーナーの価値を毀損する状況が増加しました。

中国の消費者と海外のブランドオーナーの権益を保護することが中国の経済発展にとってメリットが大きいことを分かっている中央政府は、中国ECプラットフォームの正規化に乗り出しました。それが足もとで施行されたEC法という訳です。

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2019年からはTaobao Globalに起爆剤が移る

EC法では、タオバオ上で取引を行う全てのプレーヤーについて営業許可証の取得を義務付けています。営業許可証は中国における許認可であり、商工系の当局に対して特定の経営範囲(日本の定款における業務内容と近い)において当該業務に従事することの許諾を貰うことを意味しています。そして、この営業許可証は中国の法人に対して出されます。

タオバオは個人間取引のプラットフォームでしたが、EC法によってその取引自体が規制されていくことになります。行政当局もいきなりの全範囲での執行は行わないと思われますが、弊社の周辺にいるエキスパートの話を総合すると半年程度での執行となると予想がされます。実際、2018年末では中国のネット上で個人商店に対する悲観的な記事が多く見られます。

では、EC法後はどうなるのでしょうか。弊社ではタオバオが担っていた機能はTaobao Global(全球購)に移っていくと予想しています。従前、Taobao Globalプラットフォームは法人としての登録が義務付けられていました。また、Taobao上である程度信用力があると見なされた店舗がTaobao Globalに昇格していく流れとされていました。

更に、Taobao Globalはいわゆる越境プラットフォームであり、日本を含めた海外から商品を消費者に直接届けるものです。中国の消費者にとって越境プラットフォームで購入できる商品は海外のものであり、その分、模倣品等が混在していないという安心感もある訳です。

中国EC法の施行、そして従前からTaobao Globalが持っている特徴を考えると、日本で爆買いが演出された商品が大陸で爆発するプラットフォームはTaobao Globalになると予想されます。

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日本企業にとって驚くほど認知が低いTaobao Glogal

以上の結果から2019年以降注目が高まるTaobao Globalですが日本の企業における認知度はきわめて低く、タオバオと一括りで認知されているに過ぎません。また、日本企業を支援する中国向けのマーケティングコンサルティング会社の大半もこの認識をきちんと日本企業に伝えていないことも、認知は理解が深まらないことの原因にもなっています。

一方で、弊社が親しくしている中国向けマーケティングコンサルティング会社やエキスパートはすでにTaobao Globalに対して注目しており、具体的なビジネスメニューの中に組み入れています。個別の名称についてここで挙げることは割愛しますが、ご興味があれば紹介いたしますので、ご連絡いただければと思います。

注目度を増すTaobao Global上でのセレクトショップ型店舗

日本で爆買いが演出された商品はTaobao Global上で爆発させる必要があります。一方で、今まで中国ECで特段の露出をしてこなかった企業にとって、いきなり自社の力でブーストさせることは難易度が高いことも事実です。集客に関するテクニカルなことももちろんありますが、そもそもTaobao Global上で店舗を出すためには中国法人を持っている必要があるからです。

そこで注目されるのが、在日華人系のセレクトショップ型店舗です。日本の良い商品について、直接日本の企業とコンタクトし、マーケティング・コミュニケーションシナリオと同期するかたちでTaobao Global上で複数ブランドをまとめて販売し、集客効果を最大化するというものです。

2019年はTaobao Globalを如何に活用するかが日本企業に問われています。それを支援できる在日華人系マーケティング会社の選択が重要となります。詳しくは弊社までお問い合わせください。最適なパートナーを紹介させていただきます。

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