中国では炎上のことを”発酵”と呼びますが、中国のテスラ”小鹏汽車”がオーナーたちから車の変換と購入代金の全額返金を求めた抗議活動を受けています。その背景には中国の巨大ベンチャーが置かれた投資家からの強烈なプレッシャーが見え隠れします。

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性能が格段に良い上に価格が安い新車を半年でリリースしたことが発端

2019年7月10日、広州由来のスマートカーメーカーである小鹏汽車(自動車)からニューモデルであるG3がリリースされました。旧型に比べて航続距離が長くなるなど改良が加えられています。

ところが、7月12日に小鹏汽車の董事長である何小鹏は自身の微博(Weibo:ウェイボー)をアカウント通じて旧型モデルのオーナーに対して謝罪をし、3年以内にG3から任意のモデルに買い換える場合に、1万元(約16万円)を補助することを発表しました。

このG3のニューモデル、なんと旧型がリリースされてからわずか半年で世に出されたのです。わずか半年でニューモデルのオーナー資格を無情にも剥奪されたかかたちの旧型オーナーたちの怒りは収まりません。

旧型オーナーたちは何小鹏の提案に納得せず、7月13日に広州市や北京市などの小鹏汽車サービスセンターで、車の変換と全額返金を求めて抗議活動を行いました。

G3の2020モデルは2019年7月10日にリリースされました。実勢価格は14.4〜19.7万元(約230〜315万円)で、航続距離は520kmです。一方で半年前にリリースされた旧型G3の航続距離は365kmと40%もの性能差があります。そして、旧型G3のリリース時の実勢価格は15.6〜20.0万元(約250〜320万円)でした。新型の方が旧型よりも大幅に性能が優れているにも関わらず安いのです。旧型オーナーたちが納得いかないことも理解できます。

悪手を打ってしまったかたちの小鹏汽車ですが、2014年の創立から5年間は比較的順調に成長してきています。2019年5月時点での小鹏汽車の公式発表によれば、5月の新車販売台数は2,704台で前年比+22.9%, この時点で2019年の累積新車販売台数は1万台を超えたとのことです。

小鹏汽車はスマートカーベンチャーであり、第三者から140億元(約2,240億円)の出資を受けています。出資者の中には阿里巴巴(Alibaba:アリババ)や富士康(Foxconn:フォックスコン)なども含まれています。小鹏汽車の計画では2019年末までには300億元(約4,800億円)までの増資を行い、将来的にはアメリカで上場することを視野に入れていることを発表しました。

一方で2019年第1四半期の決算は26億元(約416億円)の最終赤字。2016年から2018年までの3カ年における累積損失は200億元(約4,800億円)に達するとみられています。投資家からのプレッシャーを受ける中で、小鹏汽車としてはR&Dと新車発表が順調に進んでいることを示す必要があります。

今回の性急なモデルチェンジと、オーナーに対する稚拙な対応はR&D型ベンチャー特有の問題が背景にあると見られています。いずれにせよ、新車が半年で型落ちになり、かつ性能・価格ともに不利益を被ったということが明確である以上、旧型オーナーたちの怒りは当分収まりそうにありません。