中国の重点大学を卒業した23歳の女性が練炭自殺、その背後にはマルチ商法の影

2019年8月7日16時頃、夢夢(仮称)は父親に挨拶の声をかけた後、自分の部屋を密封し、白酒を少し飲み、部屋の中で練炭に火をつけ、自らの命を絶ちました。

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父親が大病で療養中、家庭環境は苦しいものの外では明るく振る舞っていた

彼女は24歳(日本での23歳)、中国北部にある重点大学を卒業し、海南島にある知名度の高い企業でインターンを行っている最中でした。

母親がメディアの取材に答えたところによれば、彼女の父親は10年ほど前に大病を患い、治療を受けた後は、自宅療養の状態となっていました。父親には常に誰かが付き添っていなければならない状態、それまでは普通の暮らしをしていた家族の生活は一変しました。母親は言います。

彼女は他の女の子と同じでした。とても若く、綺麗で、可愛かった。でも、ブランドものの服や化粧品を買うことはできませんでした。

同僚や友人の中で彼女の家庭の内情について知っている人はほとんどいませんでした。彼女は自分の力で両親を幸せにしたいと日々努力をしていたようです。周辺の人は彼女のことを非常に明るくて活発な女性であったと言いますが、彼女の中は大きな葛藤を抱えて生きていたのです。

大学も卒業できたことだし、一歩一歩やっていったらいいよ。家庭のことは気にしないで。

事あるごとに彼女にこう言う母親に対して、

お母さん、もう歳なのに本当にお疲れさま。私はもう大人になったし、仕事もしているから、安心して。

と返していたようです。

8月7日18:50頃、彼女は仕事を終えて帰宅。その後、しばらく食事の席につかない彼女を不思議に思った母親が夢夢の部屋に行くと内側から鍵がかけられていました。そして、合鍵で部屋を開けた母親は、燃えかすとなった練炭とその横に横たわって動かない彼女を発見し、救急車を呼ぶことになりました。かけつけた救急隊員によれば、彼女は死後3時間経過していたそうです。

部屋には彼女の手書きの遺書が残されていました。

愛するお父さんとお母さん、娘が自ら命を絶つという選択をしたことを許して下さい。20万元ほどの借金があり、返す見込みがありません。6万7千元はお父さんの治療代に充てましたが、十数万元が残っています。また、それ以外にも友達から数万元を借りています。お父さんとお母さんは、今までずっと私のことを育ててくれました。にも関わらず、2人に本当に申し訳ないことをしてしましました。私には自分の人生を終わらせるという選択肢しか残っていません。

遺書を書いた紙には彼女の涙の痕跡が残っていたそうです。

その後の調べによると、彼女は友人からお金を借りて、マルチ商法的なプラットフォームに投資をしていたようです。養豚場に投資をして利殖ができるということを売りにするプラットフォームが中国の南方地方で流行しており、家庭の生活の足しになると考えた彼女は、そこに借りたお金を投じてしまったのです。

この養豚投資プラットフォーム、実際には利殖はされず、オーナーたちは既に逃亡。公安行政当局が動く事件へと発展しています。両親のことを思った彼女はプラットフォームに騙されてしまい、友人たちにお金を返すあてがなくなってしまったことを苦に自死を選んだのです。

中国人は家庭と友人を非常に大事にします。今回の事件はその双方で矛盾が発生したことで、追い込まれたのかもしれません。いずれにせよ、彼女のご冥福をお祈りします。

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