中国の不動産業界における老舗、”世茂集団”が陰りを見せる中国不動産市場の中で一気呵成にプロジェクトの投資を加速しています。ここにきて同業他社を圧倒する不動産業界における古株企業を紹介します。

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中国不動産の老舗”世茂集団”が11ものプロジェクトを買収

世茂(Shimao:シーマオ)集団の名前をご存知の方は中国について何らかの関わりがある方々だと思います。福建省出身の許栄茂によって設立された中国の巨大不動産コングロマリットで、南京東路にコンセントのような変わったかたちのオフィス商業複合ビルの上海世茂広場等で知られています。

この世茂集団、直近の三ヶ月で泰禾、明発、万通、粤泰などを含めた11のプロジェクトを買収し、その投資額は127億元(約2,032億円)に達しており、市場関係者の間でそのリスクが話題になっています。

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目標は中国不動産企業ベスト10入り

香港をベースとする世茂集団が中国大陸に進出したのは1989年。2018年に至るまでに中国の100を超える都市において300を超える大型プロジェクトに投資をしてきました。

2017年には世茂集団としては初めて1,000億元(1.6兆円)を超える売上を達成し、業界内での順位を16位から11位に上げることに成功。2018年は中国国内不動産市場が冷え込む中、1,700億元(約2兆7,200億円)の売上を達成、前年比で74.8%と驚異的なスピードで成長しました。

平安証券のアナリストレポートによると、2019年の5月までの期間ですでに719億元(約1兆1,504億円)を売上ており、成長率も前年比で51%と驚異的なスピードを維持しており、同業他社の中でも突出した業績を残しているとのことです。

2019年3月27日の企業業績報告会の中で、世茂集団董事局副主席で総裁である許世壇は2019年の売上目標を2,100億元(約3兆3,600億円)と定め、中国国内のトップ10に返り咲くことを宣言しました。

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潤沢な現預金と業界水準を下回る負債比率、そして運営事業からの安定的なキャッシュフロー

前述の通り、2018年に世茂集団は複数のプロジェクトをExitさせ、1,700億元(約2兆7,200億円)の手元資金を手にしており、M&A資金は潤沢にあったことになります。一方で、中国の不動産市場は規制が厳しくなっており緊縮傾向が続く中、リスクが高まっていることに疑いの余地はありません。

世茂集団の負債比率は7年連続で60%を下回っており、調達金利も業界の平均を大きく下回る5.8%となり足下4年間は6%を下回る水準をキープしています。また、世茂集団はプロジェクトを販売してExitする以外に、運営事業も広く手がけています。上海や深センにおいてホテルや商業・オフィス複合ビルの運営などからも安定したキャッシュフローを手にしています。

また、世茂集団が手がけるプロジェクトは、中国の一級都市で58%, 二級都市に30%, そして三級・四級都市にも12%展開しており、中国のフロンティア拡大とともにカバレッジを広げています。三級・四級都市のプロジェクト数ベースでの成長率は50%を超えており、しっかりと内陸部の開発投資に歩調を合わせていることが分かります。

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2.7兆円の売上高でベスト10入りできない中国不動産業界

2.7兆円の売上高で不動産業界のベスト10に入れないという事実に驚きを禁じ得ないのですが、一方で業界における古株が投資アクセルを全開にしてきたことは、同業他社に対するカンフル剤になることは間違いないでしょう。

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