賭け麻雀で逮捕・実刑を受けた中国四川の女性が7年間をかけて公安部門と真っ向勝負
中国に訪問したことがある方は、路地で麻雀を楽しむ人々の姿を見かけた人は多いでしょう。その場のほとんどでお金が賭けられています。中国人の文化的楽しみといえる賭け麻雀で逮捕され実刑判決を受けた四川省の女性は公安部門と闘うことを決意します。
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賭け麻雀で実刑判決を受けた女性の7年間に渡る中国公安との闘い
2019年6月22日、王彬如という名の女性が成都市郫都区人民法院による判決を受けました。内容は、成都市公安局温江分局に判決告知から30日以内に4,739元(約7万5,800円)を罰金として支払うというものです。
遡ること2011年8月20日、王彬如は友人の任恒全、刘琼と共に成都市温江楊柳東路にある”茶楼玩牌”にて一局5元で四川を由来とする打ち方で全国的にも広まっている麻雀”決戦到底”で遊んでいました。
3時間後に3人は温江区公安局に拘束、連行され、”合計575元(約9,200円)の賭博に共同参加した”ことによる容疑で拘留されました。王彬如の友人は12日で釈放されましたが、彼女は15日間という法的に最長の期間勾留されました。一方で、王彬如にとってそれから7年間も法定で争うことになることの始まりに過ぎなかったことは、想像できなかったのです。
彼女は、一緒に麻雀を打っていたのは友人であり、勝ち負けの量も大したものではなく、賭博には当たらないと主張しました。留置所からの勾留が解けた後、彼女は温江区公安分局に対して、彼女を含めた3人に対して行った求刑の取り消しと刑罰の撤回を求めて控訴しました。
結果、敗訴となりましたが、それを不服とした王彬如は2015年1月19日に最高人民法院に対して四川省高級人民法院の裁定を覆すための上告を行いました。
2018年6月28日に高級人民法院は、
公安機関は法に基づき、被告人が行った行為の事実性、違法性、社会に与える危険の程度を厳重に審査した上で刑罰を含めた処遇を求める自由な裁量権を持っている。その立場にたって当該案件を検討するにあたり、被告人に対してくだされた行政処罰の程度は合理的な程度を超えて重く、是正されるべきでる。
とし、一審、二審の判決を退けました。王彬如はこの高級人民法院の裁定を受けてすぐに国家に対して損害賠償請求を起こし、15日間の勾留に対する損失を回復するという名目で4,739元(これは公安分局が彼女に求めた罰金と同額)の賠償を勝ち取りました。
彼女はこの判決が出るまでの7年間、国家賠償請求の手続きを進めるために何度も北京に赴くための交通費などの実質的な出費以外にも、精神的に打撃を受けたこと、家族関係に修復できないほどのヒビが入ったことなどを考慮した結果としてこの賠償金は過小であり不服としており、更に上訴を続けています。
中国”国家賠償法”によれば、損害賠償額は前年における1日あたりの平均収入を基準として、当事者の自由権利が損害を受けた合計日数をかけ合わせて算出されることとなっています。
賭けマージャン、中国でも違法です。公園等で高齢者たちが車座になって将棋や麻雀で遊んでいますが、基本的にはすべてお金を賭けています。それを見た公安行政当局は拡声器などで賭け麻雀が違法でありすぐにやめるように指導をしています。一方で、賭け麻雀は中国人にとっては切っても切り離せない生活風習であることも事実です。1万円に満たない額で遊んでいた彼女は、その結果7年の歳月を失い、家族の絆は崩壊しました。
人生とは何が起こるか分からないものです。