中国の各地に急速に拡大するECプラットフォームの体験館

安徽省合肥市に有力プラットフォームの体験館が続々進出

安徽省は中国の中でも発展が比較的遅い地域ですが、ここに来てナショナルブランド級のECプラットフォーマーやオフラインでの量販店党が軒並みオムニチャネル戦略におけるリアル接点としての店舗や体験館の出店攻勢をかけていることが現地のメディアで話題になりました。

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蘇寧電気

上の画像は中国最大の家電量販店である蘇寧電気が全国で出店を加速しているコンビニエンスストアタイプの店舗です。2018年に蘇寧電気はこのタイプの店舗を3年以内に全国で2万店舗出店すると宣言しています。

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そして、2018年4月12日、蘇寧置業(不動産)は合肥市の中心にある土地を16億元で買い上げ、蘇寧広場と銘打った体験館を建設することを発表しました。近い将来25万㎡に渡る体験型のショッピングセンターが竣工します。

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京東(JD)

アリババに次ぐEC型ショッピングモールサイトJDを持つ京東はかなり前から遠洋集団や緑地集団などの不動産大手と提携し、JDプラットフォーム上でクラウドファンディング型のマンション販売などのトライアルを積極的に推進しています。2016年には安徽省でECプラットフォームの全国大会が行われた際に、京東は安徽省との間に京東電子商取引産業パークを建設することで合意しています。

京東は”京東之家(JD House)”という体験館をショッピングモール内に設置して電気通信系の商品を体験・販売していましたが、ここに来てコンビニエンス・ストアタイプの店舗の出店を加速しています。

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小米(Xiaomi:シャオミ)

小米は2017年に”新小売業態”と称して全国に”小米之家(Xiaomiハウス)”を展開中。合肥市にも既に4店舗が出ています。

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阿里巴巴(Alibaba:アリババ)

アリババは天猫(T-Mall)というECプラットフォームを展開していますが、彼らの小売新業態戦略に基づき、”天猫小店”という小売店舗業態を急速に拡大しています。店舗主体や契約形態は調べる必要はありますが、かなり柔軟な出店形態をとっているようで、ショッピングセンターに出店されているものもあれば、アパート群の中のコミュニティセンター内や、路面店として存在するものもあるそうです。写真を見る限りは普通の売店に看板がかかっているだけのようにも見えます。

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過渡期を向かえる中国ECプラットフォーム

プラットフォーム間での競争の激化

別の記事に書き起こす予定ですが、2018年の双11(独身の日)において、EC型ショッピングモールの明暗がかなりはっきりと分かれたようです。淘宝網(Taobao:タオバオ), 天猫(T-Mall)を有するアリババグループが突き抜け、JDを有する京東はあまり成果を出せなかったとのことです(その後、現場レベルでのリストラが断行されています)。

ここに、”拼多多”のような新勢力が急速に拡大しており、中国ECプラットフォーム業界はさらなる競争の激化に晒されています。

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電子商取引法の影響により大多数の小売店が撤退に追い込まれる?

2019年1月1日付で中国電子商取引法が施行されます。詳しい内容は他のサイトに譲りますが、厳格に適用された場合、営業許可証を持たない個人レベルの店舗はECプラットフォームに出店して商売をすることができなくなります。

タオバオに代表されるC2Cプラットフォーム上に出店している大多数の店舗は個人商店であり、個人が複数店舗を別の名前で運営することも一般的です。実際、中国のメディア上では、個人のEC商店における商売について、将来は成り立たないのではないか、という議論が活発になされています。

中国政府は、C2Cが牽引して成長してきた中国のECショッピングプラットフォームにおける不配、返品時のトラブル、不当な価格での販売、模倣品の蔓延など問題が引き起こす体験レベルの低下について、商店主だけでなくECプラットフォーム側も連帯責任として改善を促そうとしており、それが当該法施行の背景にあります。

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利便性と質の高いレベルでの両立が争点に

中国の経済成長に伴い、消費者の可処分所得も増加し、物品に対する消費意欲は増大し続けています。その一方、輸入から始まり、国内物流から小売にかけてのサプライチェーンの品質の向上が追いつかない状況を補完してきたのが、これらのC2Cに代表されるECプラットフォームでした。

当初は消費者も目が肥えいない中、とにかく欲しい商品が手に入る、いわゆる利便性が質の問題を覆い隠していたのですが、SNSの普及や、海外旅行ブームによって消費者側の質への要求が継続的に高まっています。政府はその流れを捉えて、利便性と質の両立を市場プレーヤーに要求しているのです。

既に厳しい競争環境に置かれているECプラットフォーマーの勝ち筋としては、上記の要求に高いレベルで応え続けるということに他なりません。だからこそ、体験館においてそれぞれのプラットフォームのブランドとしてのライフスタイルやQOLを提案し続ける必要があるのです。

今後、中国の実態店舗で非常に面白い動きが見られるのは間違いなさそうです。

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