中国で商品を売るための具体的方法論 -2019年版 その4-
日本は本日から2019年は始動される方が多いと思いますが、中国は春節を迎える最後の追い込みの1ヶ月弱ということで、帰省するためのチケットの手配などに奔走する話題でもちきりでしょう。そして、リアル・ネット問わず、小売店では春節のお年玉「紅包(:Hongbao:ホンバオ)キャンペーンが繰り広げられることになります。
中国では微信(wechat:ウィーチャット)に代表されるSNSの発展とともに親戚関係ではなくても互いに紅包として現金をやり取りすることが一般的になりました。また、一般的に日本よりも家族間の結びつきが強い中国では、紅包を利用してこのタイミングで商品を購入することも多く見らるようになりました。
消費欲に素直な今の中国の中で、日本企業はどのようにして成功することができるのか?ECプラットフォームに焦点をあてた解説を続けていきます。
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成功するためのステップとして下記を挙げています。
① 在日華人、訪日華人による特定商品に対する爆買いの演出
② 大陸にいる華人がTaobao Global上で上記商品についてのブームづくり
③ 中国本土でT-Mall Global旗艦店のローンチ
④ 中国で複数SKUラインナップ全体でのコミュニケーション
⑤ 中国本土でT-Mall旗艦店のローンチ
前回の記事では、③中国本土でのT-Mall Global旗艦店のローンチまでを説明しましたので、”今回は④中国で複数SKUラインナップ全体でのコミュニケーション”について紹介します。
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爆買い商品とその他商品による複数SKUの重要性
POLAの例
中国のECプラットフォーム上で成功するきっかけとなるのはいわゆる「爆買い」商品です。POLAが中国で人気が出たきっかけとなったのは”whiteshot”の”innerlock”, 中国語では”美白丸”と呼ばれた商品です。大陸からのインバウンド観光客がお土産で買うところから火がついて、その後淘宝網(Taobao:タオバオ)で爆発的に売れました。
美白丸は飲んで美白を手に入れる健康食品でしたが、これがPOLAを再認知するきっかけとなり、銀座三越を代表に、POLAの特徴でもある加盟店に中国人観光客が群がるようになり、その他の商品が売れていくようになりました。
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中国EC法の影響
2019年1月1日に施行された中国EC法が適格に運用されるに従って、上記のうちタオバオで個人商店をベースに爆発的に販売がなされる状況は見られなくなるでしょう。一方で、全球購(Taobao Global)がそれにとって代わり、また天猫国際(T-Mall Global)でオフィシャルショップとして旗をたてることも重要となることは前回までの記事に書いた通りです。
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爆買い商品と目玉商品、その他商品によるSKU構成
POLAのように複数のサブブランドラインごとに一通りの商品SKUを取り揃えている場合は、その中から中国・中華圏の人々に対して、何を目玉として、何をブランドの顔として押し出すのかを判断することになります。
また、そこまでの規模ではない企業や、中小企業などは、そもそもSKU数が一桁に過ぎないというケースも少なくはありません。その場合も同様に、既存SKUの中で何を目玉として、その後継続的にブランドが売れ続けていくためのラインナップ戦略を考える必要があります。
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統合的なマーケティング戦略が重要に
中長期的に商品以外の要素を統合的に検討すべき
さて、ここまで説明してきた内容は商品(Product)にフォーカスがあたっています。しかし、本来はマーケティングについての戦略、いわゆる4P(Product, Price, Place, Promotion)があり、更にその土台としてのブランドストーリーが構築されている必要があります。
爆買い商品が1つ当たったとして、その後、同じブランドの商品を買い続けていただくための拠りどころを設け、適切な手段と内容で消費者とコミュニケーションし続ける必要があるのです。
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中国・中華圏でのローカライズに囚われすぎない
更に、上記のブランディング、マーケティングについては日本と中国・中華圏という2つのエリアについて同時に検討する必要があります。
日本人はすぐに現地でのローカライズを考えてしまいがちですが、ブランド単位で見た場合、2つのエリアでブランドストーリーや4Pを変えている(ローカライズしている)ブランドはグローバルでほとんど見かけることはありません。THE GINZAのように最初から外国人をターゲットにして、日本人にはコミュニケーションをとらないようなブランドも存在しますが、2つのエリアで4Pを変えて、双方にコミュニケーションをしているわけではありません。
そういう意味ではエリアについては複雑に考えずにシンプルに自社の商品の源泉、コアとなる価値、その背景について深掘りしていくことが重要です。
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中国ECプラットフォーム側からの制約
中国ECプラットフォーム側からの制約もあります。T-Mall Globalで公式店舗を出す場合、ある程度のSKU数が確保されている必要があります。同時に、中長期的なマーケティング計画を阿里巴巴(Alibaba:アリババ)側に提出して厳格にPDCAを管理することも要求されます。こういったことも考慮に入れて中長期的な戦略を立てておく必要があります。
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統合的マーケティング戦略の重要性
爆買い商品と目玉商品、その他SKUとそれを乗せるサブブランドライン。商品の価格と販売チャネル、そしてブランドストーリーとそれを伝えるルート。様々な内容について時間軸の中でタスクとして整理していく必要があります。
ブランディング、マーケティングの世界では当たり前の話ですが、モノの良さで売れていく日本では企業が上記を意識しなくても結果としてブランディングができてしまうということが少なくありません。中国・中華圏ではゼロからの立ち上げとなる日本のブランドにとって、戸惑うところでもありますが、戦略的に考えていくしかありません。
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日本に少ない統合型マーケティング支援企業
そして、このような総合的な戦略づくりを行えるプレーヤーは、弊社が知る限りは極めて少ないのが現状です。正確に言えば、日本企業の戦略的な特性を知りつつ、そこに適合した戦略づくりと実行の支援を行うことができるプレーヤーがほとんど存在しないのです。
弊社は日中間でのM&Aを支援するアドバイザリーですが、日本からのイン・アウトの場合上記の戦略づくりは必須となりますが、一緒に動くことができるパートナーは数えるほどとの認識です。
弊社のメインビジネスではありませんが、こういったことでお悩みの企業の方がいらっしゃいましたら、ぜひお声がけください。
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