2019年9月13日、米国市場のオープン前に、中国の大手自動車メディアで紐育証券取引所に上場する易車網が、腾讯(Tencent:テンセント)とHammer Capitalを引き受け手として、ADS(米国預託証券)1株あたり16ドルの価格で市場に流通する当社の株式への公開買付を行うことについて、法的拘束力を持たない覚書を締結したことを発表しました。

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中国新車販売市場が冷え込む中、媒介事業が足かせに

この発表を受けて、易車網の株式市場価格は直近30日の平均終値に対して30.6%値上がりし約15ドルに達し、同社の市場価値は10.5億ドル(約1,138億円)となりました。

易車網のCEOである張序安は社内メールの中で、この公開買付により同社は非上場化し、ニューヨーク市場から退場するとしています。

易車網の自動車販売プラットフォームであり香港市場に上場する易鑫集団は、この取引により仮に易車網の株主構成に変動が生じた場合、テンセントとHammer Capitalは同時に易鑫に対しても同様の比率で株式を買取ることを企図していると発表しました。

易車網と並び、中国の自動車メディア大手である汽車之家の収入源は広告であり売上高に占める割合は40%に達しています。これは易車網も同様の比率ですが、同社の最大の収入は自動車の販売媒介手数料で、50.8%を占めています。この手数料収入は前述した販売プラットフォームである易鑫集団によるものです。

自動車販売プラットフォーム事業には多くの人員と在庫が必要です。2018年の売上高が105.8億元(約1,693億円)であったのに対し、6.1億元(約97.6億円)の損失を計上しています。

一方、汽車之家は平安信託によるM&Aの後に、自動車販売プラットフォーム事業から徐々に撤退を進めた結果として、28.7億元の純利益を出すに至っています。

中国の新車販売市場が冷え込む中で、多くの要員や在庫を抱えざるを得ない自動車販売媒介事業は曲がり角を迎えており、転換に成功した汽車之家との明暗がはっきり分かれたことを意味しています。

易車網の元スタッフによれば、汽車之家との企業体質には大きな距離があり、易車網は彼らと比較して明確な差別化ポイントを顧客に対して示すことができていないようです。また、労務環境も過酷で、いわゆる996問題を抱えており、スタッフのモラルも下がっているとのことです。

易車網の現時点での最大の株主はEC大手である京東(JD)で25.4%を支配、次いで創始者の李斌仍が11%を保有しています。残りは市場に流通する株式と見てよく、テンセント等が公開買付を行い、非上場化をするということです。

テンセントが支配株主となることで、易車網は業績回復への改革路線を推し進めることができるか。新車販売マーケットが冷え込んでいる以上、メディア事業に特化して広告収入依存率を高めることが一つの方向性ではありますが、テンセントのメディア力とのシナジーがどこまで発揮できるかにかかっているのかもしれません。