ナンバープレート1枚が150万円 中国の自動車購入・保有規制の現状と未来

2002年以降中国ではモータリゼーションが劇的に進んだ結果、都市インフラの整備スピードを上回り、都市部の道路、駐車場に車が溢れて、激しい交通渋滞や大気汚染を引き起こすようになりました。結果、地方政府(地方自治体)は自動車の購入や走行に関して様々な規制を導入するようになりました。例えば、

  • 自動車ナンバーの抽選制度(北京市など)
  • 自動車の末尾ナンバー別走行規制度(北京市など)
  • 自動車ナンバーのオークション制度(上海市)
  • 新エネルギー車に対するナンバー取得優遇、税制優遇(広州市など)

のようなものです。このような制度を導入しなければならない背景については、データを紐解くと良く分かります。

中国の地区別一人あたりGDPと1000人あたり自動車保有台数の関係

中国の地区別一人あたりGDPと1000人あたり自動車保有台数の関係

中国国家統計局のデータに基いて、中国の地区(省別)での1人当りGDP(元/人)と1,000人当り自動車保有台数(台)をグラフ化したものです。全体として経済力が上がってくることによって自動車購入が進む、すなわちモータリゼーションの流れが分かります。上海市はナンバープレートオークション導入を他の地区に先駆けていち早く導入した結果として保有台数の増加を抑えることができたかたちですが、北京市のようにナンバープレート抽選制度を入れたもののその導入が遅かった地区については、交通渋滞や大気汚染の深刻な問題に歯止めをかけることができていない状態です。さて、この先に何があるかと言うと、

延長線上にある日本

延長線上にある日本

中国の各国のデータと同じ単位で日本全国のデータを分布させてみると上記のようになります。中国はGDP総額については日本を追い越して世界第2位となりましたが、1人当りベースではまだまだ低いのが事実です。ただし、経済成長スピードは実質ベースで7%台と原則傾向はあり「新常態」に移行させるという話はあるものの、先進国と比べれば高速に成長しています。経済成長と自動車保有台数はリニアな関係になっており、このまま行くと都市部に自動車が溢れることになります。ですから、経済的に先行している地区から様々な自動車保有台数増加抑制策を導入していきます。都市別で分析すると実はもっと面白い結果が得られます。貴州省の貴州市などが上位に上がってきます。国家統計局の公式Webサイトからは都市別のデータを入手できないので、ここまでにしておきます。

さて、2015年3月21日に上海市にて3月分のナンバープレートオークションが行われました。非営業製乗用車、すなわち民間の自動車に配給された新しいナンバープレートは7,406台分、それに対するオークション参加者はなんと13万人以上が応札し、落札率はわずか5.6%、そして驚きの成約平均価格は74,600元(約150万円)でした!ナンバープレート1枚購入することで車を1台分買うことができます。車によっては買ってお釣りが来ることもあるでしょう。

それでもやっぱり乗りたいですね

それでもやっぱり乗りたいですね

結果、外地ナンバー(安徽省や江蘇省などのナンバー)で上海市を走るというような抜け道が現れるに至りましたが、市の交通管理当局も時間帯による走行規制などを外地ナンバーに対して実施するなど規制を強化する方向にあります。日本も経験をしたことですが、経済的に豊かになってくれば自動車が欲しくなるのは普通のことです。深刻な「霧」の問題がある中で、先行する都市部から自動車購入・保有規制はより一層強化されていくことが予想されます。また、新エネルギー車に対する優遇策も打ち出されてくるでしょう。テスラのイーロン・マスクも、3年以内に中国での国内生産を宣言したところですし、今後の動きが注目されます。

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