中国は深センでの日程が終わりました。本題については守秘義務や業務進行上の大人の理由もあるので明らかにできませんが、商談の中での先方とのやり取りや、僕のパートナーとの準備に関するやり取り、そして空いた時間での街歩きなどを通して、一番言いたいこととして、記事のタイトルのようなことに思い至った訳です。

深センにドローンとか盒馬(Hema:フーマ)とか見に行くのも良いと思いますし、圧倒的な高層ビルの摩天楼を見るのも良いと思います。で、深センに行っても良いと思う。でも、深セン(だけ)に行くな!です。

僕は中国大陸で生活したこともありますし、それほど滞在時間は長くないですが、東西南北、中国各地の都市に出張して見聞したこともあります。そして、今回深センで仕事をして歩いて見て感じたのは、

歩いていて全然楽しくない街だな…

ということです。上海とも北京とも、天津、長春、大連、武漢、長沙、重慶などとも全く違います。それらの都市は歩いていてワクワクします。

深センが誕生した背景から考えれば当たり前なのですが、深センには中国悠久の歴史が醸し出す懐の深さとか、大局思考とか、アジアの中での戦略的なポジショニングとかを感じることが難しいのです。

中国有数の企業の総裁と、広東料理をつまみながら、中国人と日本人の違い、お互いの歴史上での関係性、現時点での世界における立ち位置、そしてその中で翻弄される人々のたくましさ、そういったことを話します。これが中国の本質であり、ドローンやニューリテールに代表されるテクノロジーはあくまでも手段として表面上に出てきたものでしかないと思っていますし、百戦錬磨の中国の経営者(老板)も同じことをより高いレベルで思っているはずです。

深センでももちろん感じることはできます。しかし、それはギリギリの状況下で中国人と真剣に交流することで初めて経験できるのです。旅行者として表面にあるモノ・コトを眺めていているのでは決して得ることはできません。

もちろん、いきなりビジネスでそういったギリギリの交渉の場に最初から関わることはできません。しかし、かと言って深センだけを見ていても埒が明かないのです。ではどうすれば良いのか?

深センは広州市に隣接しています。香港にも隣接しています。深センを訪れるのであれば、少なくともこの2つの都市は見た方が良いです。特に広州市には行った方が良い。亜熱帯の気候は深センと変わりませんが、街の雰囲気、レンガ造りの低層アパートの連なりや、路上の小売店舗、古びれた中層オフィス雑居ビル、年齢層の広い人々の生活、血の色がすぐそこにある市場など。こういった景色は深センにはありません。あまりにも街が綺麗で、年齢が若いのです。

月曜日に商談をした中国系グローバル企業の総裁は、

深センは特殊。日中関係が悪化しようが、中米関係が悪化しようが、中国の景気が落ち込もうが全く影響は無い。毎年60万人の人口増加があり、そのほとんどが世界有数の若年層エリートだからだよ。

と仰っていました。それだけ深センは中国の中、いや世界の中でも特殊な場所のです。そして特殊過ぎるが故に、中国大陸が数千年の歴史を背景に、人々の悠久の営みの中で蓄えてきた智慧が見えにくくなっているのです。

深センにドローンツアーで訪れた皆さん、深センから日本に戻って、あの場所に住み続けたいと思いますか?恐らく大半の人は否定的な意見なのではないでしょうか。

中国でドローンを必死で研究開発し、世の中に出そうとしているエリートたちの背景には、大陸の悠久の智慧がベースにあるのです。それに触れないで帰国して、日本で何を成し遂げようと言うのでしょうか?そして、日中の間でビジネスを興そうという人がどれくらいできあがるのでしょうか?なぜ、日本のベンチャー企業は中国市場をターゲットのしないのでしょうか?一体、何を持ち帰ったのでしょうか…。

消費して終わり。

それこそ自身が否定する典型的な戦後の日本人、オッサンの姿では?