Netflixが中国に独資参入?アリババも映画大手2社に出資、激化するコンテンツ市場
中国のメディア、コンテンツ産業について、昨今、日本への参入を明らかにしたNetflixが中国への参入を計画しており、それはパートナーシップではなく、独資となる可能性が高いというニュースが発表されました。コンテンツ業界とメディア業界、そしてインターネット業界の融合は進んできておいり、既に中国のインターネット大手である BAT+X(百度、アリババ、テンセント+小米(シャオミ))とメディア、コンテンツ産業との融合は実のところ2014年から急激に動いてきています。その様子を、タイムリーに発表された2つの記事から見ていきます。まずは、アリババが中国トップメディア企業を買収した話題から。
アリババは積極的にメディア・娯楽事業を改革(科技新報)
アリババグループは中国のメディア事業の娯楽事業への投資を宣言。中国のテレビ番組・映画会社のトップ企業のひとつである光線伝媒に24億人民元(約480億円)を当時8.8%の持ち分を獲得した。
2014年以来、アリババは投資、買収を活発化。積極的にメディアと娯楽産業への進出を図ってきた。中でもサッカー中国リーグ(Cリーグ)の広州恒大に2億ドルを当時、チーム名を「広州恒大淘宝サッカークラブ」としたことは人々の記憶に新しい。
中国のマーケットリサーチ会社であるEntgroupの資料によると、映画産業を例にした場合、2014年の中国でのボックスオフィス収入は48億人民元(960億円)で36%の成長。その他、iResearchの資料では、オンライン動画市場は2013年との比較で76%の成長、その最大の収益源は広告で、その収入は240億元(4,800億円)に達した。2014年アリババは既に24億元(480億円)を中国企業に投じており、映画、テレビ、デジタルコンテンツへの拡張を図っている。
アリババは2014年上半期に、文化中国伝媒集団の59%の持ち分を獲得し買収、その名前を「アリババ影業集団」変え、映画、テレビ番組制作、雑種出版及び広告とした。アリババはインターネット系で強い技術を活用してコンテンツをプッシュしたい考えだ。更に、2014年11月にアリババは華谊兄弟電影公司(番組・映画製作・配給大手)に1.5億元(30億円)を出資し、8.0%の持ち分を確保、2番目の大株主となったばかりだ。
2014年、多くのインターネット企業が映画・テレビの制作市場に参入。百度は株を持つ愛奇芸網(動画大手)のWebサイトにて、2014年7月にテレビ・映画会社の設立を宣言。また、アリババは、優酷・土豆網(動画大手)の16.5%の株式を保有、その他にも傘下にオンライン動画とスマートテレビ会社である楽視網資讯科技公司を持つ。更に、2014年の10月にはカリフォルニア州に2つの子会社を設立した。
次にネット配信とデジタルマーケティングの騎手、Netflixの中国参入に関する宣言についての記事です。
”House of Cards”プロデューサーNetflixの中国参入計画は独資(科技新報)
「House of Cards」のプロデューサーでもあり、Netflixのチーフコンテンツオフィサーでもあるテッド・サランドスは最近訪中し、メディアの取材を受けて、Netflixが中国に参入する際にはパートナーシップ方式をとらず、独資を考えていることを発表。合資企業は複雑で管理が難しく成功することは難しいからだ。
独資での参入は簡単ではない。まず、Netflixが中国で事業をするために8枚の営業許可証が必要であること。更に、中国でコンテンツ事業を行う際には、政府との交渉が避けられないことが挙げられる。中国本土のパートナーがいない場合、上記のタスクの難度は上がる。
Netflixが見ているのは、6.5億人のインターネットユーザーだ。その内、60%がスマートフォン、もしくはタブレットを使っている。既にアリババ、テンセント、百度、小米などは国内の文化産業への大規模な投資を行っている。全人代の席上で、テンセントのCEOの馬化腾(ポニー・マー)は、テンセントが音楽、テレビ・映画の版権ビジネスチャンスに注目していると表明した。更に、コンテンツ産業の鍵は版権であり、テンセントは多くの領域における電子版権を補完していると述べた。
2014年11月、テンセントは北京にてワーナーブラザーズ傘下のHBOと協議をしていることを発表。もうすぐ、テンセントのWebサイトで中国のユーザーがHBOの番組や映画を見ることができるようになる。Netflixが中国に参入するのであれば、テンセント動画が最大のライバルになる。同時に、米国から版権を買って放映している、搜狐視頻や愛奇芸(百度)も競争相手となる。独資参入による核心的優位性を築けるかどうかにかかっている。
編集後記:
上記に出てくる内容から拾って、将来の中国のインターネットメデイア・コンテンツ企業をグループ化すると、
- アリババ(華谊兄弟、光線伝媒、優酷土豆)
- 百度(愛奇芸)
- テンセント(HBO)
- Netflix
という感じですね。いずれにせよ、インターネット大手は魅力あるコンテンツを積極的に囲い込むために投資をしかけているということですね。中国のコンテンツ産業は外資に対しては非常に規制されていることは皆さんもご存知だと思います。映画の配給、雑誌の発行なども全く開放されていません。Netflixはそのあたりの障壁をどうやって乗り越えるのか、Googleの二の舞いにならないか、2015年はインターネットコンテンツにおけるメディア、娯楽系のニュースを見る際のひとつの注目点になると思います。