中国での外国書籍出版に活路?大学2年の女性起業家による新プラットフォーム
大学二年次に起業した中国人女性によるオンラインでの翻訳・出版プラットフォームです。英語書籍を中国で出版したい作者に対して、それまではかなり面倒だった翻訳者と編集者を探す手間と時間をオンラインプラットフォームを使うことにより一気に短縮した形です。Tech Crunch中国の記事をどうぞ。
中国には約200億ドルの書籍出版市場がある。電子書籍はその中で最速で発展している。しかし、この金塊にありつくのは至難の業だ。まず出版社を探し、翻訳と編集の仕上がりを待ち、本屋さんの本棚に乗るのは1年以上の時間がかかる。北京に所在するFibereadは、外国人作家に、最速かつ最短ルートで中国の書籍市場で勝負するための機会を提供する。
Fibereadは2011年、江苑薇(Runa)によって設立され、現在、米国のアクセラレーター”500Startups”プロジェクトに参加中。彼女曰く、電子書籍プラットフォームが中国で爆発的な成長をしていたため、読者はより多くの外国人作家の作品を読みたいというニーズが出てきたにも関わらず、出版社はそのニーズを満たすことができないという矛盾に気づいたため起業した。Fibereadには現在100以上の作家が登録され、200以上の作品が登録されている。その内1/3は既にアマゾン、阿里巴巴、京東、当当、網易、百度、iBooksなど各チャネルから販売されている。
Fiberaed以前は、作家は出版社に連絡し翻訳と出版をお願いする形だった。毎年100万冊を越える英語書籍が出版されているが、その内中国語に翻訳されたのは1/100に過ぎない。江苑薇曰く、「このような状況では中国で自分の作品を発表するのは本当に困難で、実際、米国の優れた作家の作品の殆どが中国には入ってきていません。」
Fibereadでは、作者がオンラインプラットフォーム上で翻訳者と編集者と繋がることができる。現在、プラットフォーム上には300名の認証翻訳者がおり、彼・彼女たちは2000人以上の各種SNSから申請してきた中での選りすぐりだ。これら翻訳者の力を合わせることにより、1冊の本を出版するまでに2, 3ヶ月という短期間で漕ぎ着けられるのだ。
Fibereadの収入の配分は、書籍の収入の30%が作者に、40%が翻訳者と編集者へ、その残りがFibereadの利益となる。2014年11月から12月にかけて、英国作家のSaffina Desforgesの本は7,000冊売れたそうだ。彼女は「中国の出版市場規模は巨大で、成長速度も驚くべきものです。できるだけ早くこの市場に入り、多くの人に著作を読んで欲しい」と言う。
さて、海賊版問題。Fibereadには判断基準がある。「我々は作者との間で、知的財産権保護を行います。インターネット上でスキャンされた作品を発見次第、盗用とみなし、当局に通報します。」江苑薇によれば、「中国の読書ニーズは非常に高く、一部の作品は非合法的に翻訳、展開されています。正式版がないことの一つの大きな理由でもあります。」
編集後記
中国の学生による起業の成功確率は本当に低いですが、実際、母数が多だけあって、彼女のような人がどんどん出てきます。そして、このようにアメリカ発であったり、アメリカのアクセラレーターを使ったケースも多く見られます。ニーズも非常に根源的です。中国の出版は国が厳しく統制しているため、新規参入は難しいとすることが、定説でした。これは、参入コンサルティング会社に聞いても100人いれば100人が同じ答えをしたはずです。しかし、起業はそこが面白い。障害があるから、規制があるからこそ、そこにチャンスがあるのです。信じるのは根源的なニーズのみ。そのニーズを信じて、そのニーズにあったサービスを突き詰めて提供する。それだけなんですよね、後から見れば。とにかく、ニーズを解決することを突き詰めていく、突き詰めた結果として何かを得ることができると信じ続けて実行することこそが成功に至る秘訣なのかなと思います。