M&Aの案件を仕掛ける中で、パートナーとこんな話になりました。2人で事業計画を精査し、ファイナライズする中で彼曰く、

前に働いていた外資系の投資銀行で、同僚だった欧米人に言われたこととして、日本は良い国だけど税金が高すぎて仕事をするところではないよね、と言われたんですよね。

確かにこれだけ税金が高いにも関わらず、富裕層ですらタックスヘイヴンにある程度滞在して、日本の住民税を回避するなどの処置を取れば良いのに、あまりそうしている人っていないですよね。

一般大衆だけでなく、富裕層ですらそうであるのって何故なんでしょうね?

確かに、日本の住民税を回避するためにシンガポールや香港、クアラルンプールやバンコクなどで1年の内、一定の期間を過ごすということをしている人、いるにはいると思うのですが、あまり多くない印象を受けます。

また、老後に上記のような生活を送ってみたものの、結局日本に戻ってきてしまうというケースを耳にすることも少なくありません。

一方、自分が知っている中国人の友人たちは、その多くが中国以外にも家を持っています。もちろんその中には富裕層と呼ばれる人たちも含まれますが、一方で、普通のサラリーマンであったり、非常に若い方で親から援助を受けて日本に住居兼投資用のマンションを購入しているケースもあるのです。

メルボルンであったり、カナダであったり、アメリカであったり、日本であったり。場所は千差万別ですが、自国以外に拠点を確保しています。そして、それは今流行りのシェアリングエコノミーに代表される「使用」ではなく、アセットを「保有」することを前提としています。

まあ、まとめてしまえば簡単なのですが、日本人は自らのアセットを日本一国に集中し過ぎており、しかもそのアセットを効率的に回しておらず、高い税金だけ納めているということになります。その点について、一般層はもちろん気づいていないのかもしれませんが、富裕層ですらその状況を呑み込んでしまうのです。

それだけ日本という国を信頼しているということの現れなのかもしれませんが、一方でそれは国を盲信しているということにはならないでしょうか。

では、皆さんがそれだけ信じ抜くこの国の未来は明るいのでしょうか。 人口減少で縮小再生産、自給自足による最適化については、人口予測を見る限り限度があり現実的ではなさそうです。これから増えていくのは、高齢者世帯と若年を中心とした単身世帯です。どう考えても今のまま大きな政府的な社会福祉を続けていけば、若者は疲弊し、いずれにせよ財政が破綻します。

この不都合な真実について皆さんはどう受け止めているのでしょうか。

政治・経済・エンターテイメントが集中するこの東京において、周囲を見渡しても、この大きな流れについてマクロから捉えて、その構造を変えようとする戦略を描いている人とはほとんど話をしたことがありません。若者もベンチャーもミクロ的な改善で低いリスクでグロースしていくアプローチが多く、世の中の構造を変えてしまうような取り組みに至っている会社や個人はほとんどないのではないでしょうか。

もちろん、身の回りの改善をしっかりやるというところから発想することは大切ですし、そのこと自体を否定している訳ではありません。しかし、それは大きな流れを変えることはできないのです。小さな流れを愛でつつも、その一方でその流れがいずれはたどり着く大河のうねりについて想いを馳せることも大事なのではないでしょうか。

そろそろ戦略についての話をしませんか?