爆下げ?そんなことよりも、なぜ人が中国ビジネスに虜になるのかの話をしよう
昨日、IT業界の友人と友人の会社がオペレーションを受託している"Shinoby's Bar銀座”にて美味しいワインをいただきながら中国に関する話題で盛り上がりました。自分が世界のニュース関係を見ている中で、昨日が正に日本のニュースが中国の株安について一斉に取り上げた日だと感じています。それでも僕らの間で盛り上がったのは、”中国に一度関わってしまった人は永遠にその魅力から逃れられない”ということでした。懲りないですね(笑)。
互いに話のキャッチボールをしている中で、自分の中でも気付きがいくつかあったのでそれを書き起こしてみます。しつこく言いますが、議論するために個別事象を自分なりの仮説で一般化しているということはお忘れなく。
中国人はBS思考(嗜好)
BSはBalance Sheet(貸借対照用)、簡単にいえば”資産(アセット)”でモノ・コトを考えると思っています。中国の”人”がまずそうです。”人”の集まりである”企業”や”政府”も当然そうなります。
昨夜、友人は中国に最初に行き始めた頃、いろいろな失敗が重なって大変な思いをしたそうですが、その時に頼って行った中国人の友人は、持っているヒト、モノ、カネを総動員して何の見返りもなく助けてくれたそうです。僕にも同じような経験があります。失敗した時に助けてくれた上に、そのことによって更に仲良くなったというものです。
中国人との商談では中国人(企業)側から、「まずは、お互いにできることを紹介しましょう」、「その上で協業した場合に何ができるかを考えましょう」とノッケから言われることが多々ありました。また、中国の友人から、更にその友人を紹介してもらうことにより、普段では会えないような人に会うこともわりと日常的にありました。
中国人は自分が持っている資産をまず最大化しようと言う発想があると思います。お金を持っていれば投資、固定資産を持っている場合は運用、人脈を持っている場合は紹介、企業とコネクションを持っている場合はまずその企業を活かした事業アイデアを考える、などです。
ユーザーを見て仕事をする中国人
中国人は基本的には”他人”と”家族・兄弟”との線引きが明確で、”他人”に対してはあまり信用しません。卑近な例で言えば、SNSであるwechat(微信)ではLINEのようにグループをつくることができますが、そこにあまり親しくない人、利害で繋がっていない人を入れることに対する拒否反応は日本人以上に強いと感じます。また、自分が嫌だなと思った場合には、ダラダラとそのグループにいることを選ばずに、サッと離脱します。爽やかなくらいです。
彼らが新しい環境に入った際に気にするのは、”ウチ”の人であるか”ソト”の人であるかということです。その判断軸としては、先ほどの例に戻りますが、どのくらいお互いが資産を”さらけ出して”シェアできているか?資産に関する約束を忠実に守れているか?ということに尽きると思います。簡単にいえば、人に対してフェアであるかということです。そこに、組織の論理はあまり入り込みません。
2010, 2011年以降、中国企業は完全にクローズドからオープンなプラットフォーム志向になりました。サービスは作って終わりではなく、ユーザーが必要であるかぎり広げ、深掘りして進化させていかなければなりません。wechatや百度がプラットフォーム化し、様々なサービスを提携や買収などを通じて取り込みつつ、UX/UIを進化させて深掘りをしていく過程は、”組織の論理よりもユーザーの論理を先行させている”ことの現れです。
これらの会社の中には、中国人が本来持っている良さである”まず組織ではなく人を見る”という価値観を最大限に活かしているのだと思います。
女性の活躍とサービスの深化
以前にも書きましたが、インターネットの時代は女性の時代です。身近な目線で、改善できるポイントを見つけ、日常的に創造・改善していき、それをシェアします。インターネット時代の事業に必要なことばかりです。
さて、中国にいると、日常、ドラマなど関係なく、女性が男性に対して直接的な質問をガンガン投げかけていきます。「買い物に行くから付き合って」、「これが欲しいけど高い、どう思う?」、「疲れたからマッサージして」、「愛してる?」、「仕事と私とどっちをとるの?」などなど。毎日が問いの連続です。そして、その問いの主体は女性です。男性は女性の問いに対して毎日解決策を見出す必要があります。
程度差の問題ではあると思いますが、中国では男性よりも女性の方が”人生を快適に過ごしたい”という思いに忠実で、その問いを常に男性に投げかけているということです。その問いにそれこそ”真摯に”向き合わなくてはならない男性は鍛えられますね(笑)。
インターネット時代は女性の時代、それに加えて中国女性は”人生を快適に過ごすための問い”に満ちあふれています。そして、そこに向き合う男性もその”問い”について真剣に解答を見つけようと訓練されています。サービス業が発達する素地はそこにあります。
仕事も飲み会もダラダラしない
中国人との食事会、飲み会ってサッパリしてます。時間もそれほど長くない中で、ものすごい量の酒を酌み交わしつつ、互いが持つ資産の現状(地価)をシェアして、時間がくれば終わりです。基本的に二次会もありません。また、飲み会が開始されるのも18時とか19時とか、日本のように20時、21時開始なんてありません。
時間に対する意識が高いのです。もちろん、効率ってアウトプットが分子に来ますから、効率が最大化されているのかは別ですが、基本的に分母を小さくしようという考え方です。別の言い方をすれば、仕事の時間以外のプライベートな時間、奥さんや彼女、友達との時間を大事にしているということです。
食事の時に話す内容は、基本的には”問い”に対する”提案”型です。日本人の飲み会は、”問い”の本質が後回しにされ、枝葉の話(ボケやツッコミ、派生した別の”問い”)に展開されることが多々ありますが、中国では基本的にその”問い”に対して、兄弟・友人がなんとかして答えを出すということに対して真剣だなと相対的に思います。お互いの悩みの本質に立ち入り、それを自分のものする踏み込み方なので、人によっては厚かましいと感じるかもしれませんし、爽快だと考える人もいるでしょう。
編集後記
とりとめもないですが、この”違い”って面白いと思いませんか?この”違い”を楽しめた人は大概中国の虜になります。もっと正確に言えば、中国の”人”のことを好きになるということです。
そして、もう一つ、こういった特徴を(一般的に)持つ中国の”人”たちが創りだすモノ・コトは、日本とは違うものになることは間違いありません。一方で、”違い”はありつつも、日本の人々からすれば、非常に示唆に富んだものになるのです。
そんなことを2人で話をしていたら、終電ギリギリでした(笑)。