中国のインターネットは1994年に開通、世界で77番目にネットに接続できる国家となりました。その2年後に、上海市に中国初の”網吧(Wangba:インターネットバー)”である”威盖特”が誕生しました。

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中国人を加速的にネットバーに向かわせたQQの誕生

利用料は急騰し、1時間あたり40元(約640円)。その後のADSLが1ヶ月あたり数十元で利用できたことを考えると非常に高額であったことが分かります。

この”ネットバー”は一般生活からは隔絶された世界でした。狭い部屋にぎっしりとパソコンが並び、建前の上では未成年は立入禁止でしたが、子どもも含めてインストールされたゲームに興じていたのです。

1999年から2001年にかけてネットバーは中国で急速に発展します。大多数の家庭にパソコンは導入されていない中、今でも多数の利用者を誇る腾讯(Tencent:テンセント)が開発したSNSであるQQが発展に拍車をかけます。QQは友人とコミュニケーションをとれるだけでなく、ゲームをしたり、音楽を聴いたりすることができる画期的なアプリだったのです。

そのような中2002年6月16日2:40に北京市のIT集中地区である海淀区のネットバーで火災が発生します。4人の未成年がネットバーのスタッフとのトラブルの報復として放火をした結果、25人が死亡する重大な事故が起こりました。

それまではネットバーを規制する行政部門もなく、規制もありませんでしたが、この事件以降北京市ではネットバーを全面的に禁止することを発表、更に中央政府もネットバーを規制する法制度や規制を整備することとなり、ネットバーは「地下に潜る」こととなったのです。

2012年頃からネットバー業界の経営状態は急激に悪化します。ADSLが普及したこと、パソコンの価格が相当に安くなったということ、そして何よりもスマートフォンによるモバイルインターネット時代の到来によってネットバーの利用者が激減したためです。

今ではネットバーは殆ど見かけなくなり、代わりに”ネットカフェ”が出現しています。広く清潔な空間で全面禁煙、特定のゲームに夢中になることではなく、一般的なカフェと同じく休憩し、ゆっくり時間を過ごす場所として利用されています。

「地下に潜った」ネットカフェのタバコの据えた匂いをまとう、独特のアンダーグラウンド感が懐かしい方もいらっしゃるかもしれませんが、中国のインターネット社会の急速な変化は、すでにそういった時代を過去のものとしてしまったということでしょう。