ゴミ分別への規制が強化された中国、一方で廃品回収ベンチャーが破産の危機に
今年の3月以来、小黄狗(黄色い犬)環保科技有限公司の財務状態が危機的状況にあることが報道されてきましたが、足下で破産状態であることがメディアによって2019年8月21日に明らかにされました。
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小黄狗のビジネスモデルは逆ザヤに
小黄狗は2017年8月に登録資本金1億元(約16億円)で設立されており、「僕がゴミを食べれば、現金を返すよ」称するビジネスモデルで、全国でのカバーエリアを急速に拡大、現在は上海市、深セン市、広州市、重慶市に子会社が設置されています。
小黄狗の54.4%の株式は”派生科技集団有限公司”が保有しています。一方で以前、この親会社である”派生科技有限公司”に対して、”団貨網”を運営する東莞団貨網科技服務有限公司が非合法的に出資をしたとされています。小黄網の実質的な支配株主は、この団貨網の支配株主である唐軍という人物であることは間違いないようです。
唐軍は1987年生まれのシリアルアントレプレナーで、前述した団貨網を創業、インターネット上でのマルチメディアプラットフォームや、ムービーなど多岐にわたる企業を創設し、その傘下に入れてきました。一方で、3月28日には不特定多数から違法に資金を集めたことにより公安行政当局の内偵を受け、自首するに至っています。
さて、この小黄狗ですが、廃品回収と再生資源のプラットフォームとされています。主なターゲット顧客はオフィス、ホテル、行政区が設置した廃品回収ボックスなどで、そこから廃品を回収し、紙、プラスチック、金属、ガラスなどを取り出して販売することで収益を得る構造となっています。
親会社である派生科技グループによると、小黄狗は2018年6月14日に中植集団から10.5億元(約168億円)のシリーズAでの調達に成功しています。それから一年も経たずに企業価値は60億元(約960億円)に到達、同年10月には更に1.5億元の追加調達を済ませ、2019年4月には企業価値が151.5億元(約2,424億円)にまで達しています。
ところが、2018年上半期における小黄狗の売上はゼロ。純資産は4.8億元(約77億円)しかありませんでした。北京地区を例に挙げると、再生金属の買取価格は0.35元/kg, プラスチックは0.2元/kgとなっており、小黄狗が設定した回収時に顧客に返金する金額よりも低く、逆ザヤとなっています。これでは儲かりませんね。
小黄狗は、ゴミの分別回収制度の施行により事業環境は劇的に改善されており、インターネットベンチャーの大半が赤字であることを理由に、現在の状態については問題が無く、正常であると発表しています。
一方で小黄狗は現在、回収時に顧客に対して返金することを一時停止しており、財務的には短期負債が積み上がるかたちとなり、債務超過の状態となっていることは間違いなく、まもなく破産の手続きに入るのではないかと言われています。