芥子?食べ残しの野菜?何が入っているか分からない中国火鍋、それでも愛す
皆さんの大好きな「火鍋」。日本でも最近本格的な火鍋を食べられるお店が増えてきましたね。中国の火鍋は可愛い女の子と一緒に食べるのが最高です。ホットポットでお互いの関係もアツアツです。その本家本元の火鍋業界にスキャンダルが発生し大変なことになっているようです。
大元は、中国で火鍋チェーンを展開する大手台湾企業の「呷哺呷哺(発音はなんと”シャブシャブ”)」が「鴨血(ヤーシュエ:アヒルの血を固めたもので火鍋に入れる定番の具)」を「”豚”の血を固めたもの」で偽って提供していたという問題がメディアにて暴露されたことに端を発します。この問題で、日本にも既に進出済みで、日本では高級店扱いの「小肥羊(シャオフェイヤン)」火鍋店にも同様に北京市食品・薬品管理局が立ち入り検査に入り、その期間は暫定的に鴨血の供給が停止されました。検査の結果、北京市の大興地区に4ヶ所ある「呷哺呷哺」のセントラルキッチンで豚血による鴨血の偽造が発覚したとのことです。
更に、山東省の「洪楼大柴門老灶火鍋店」が、お客さんの食べ残しの火鍋スープに入れる調味料であるチリオイルを新品と称して提供していたことが明るみになりました。一部の火鍋店ではスープの調味料として「芥子(ケシ)」を加えて食卓に提供していたとまことしやかに言われています。中国駐在経験者の誰もが一度は聞いたことがある話です。いずれにせよ、火鍋にまつわる食品安全についての話題が波紋を呼んでいます。
山東省、浙江省などでは断続的に火鍋店での食品安全問題が出ているようです。2015年初、CCTV(中国中央テレビ)が杭州市東坡路の老舗火鍋店でスープの偽造や、顧客の残り物の野菜をもう一度新品と称して提供していた問題が暴露されました。杭州市の管理監督当局が一斉立ち入り検査を行った結果、改善命令が出された火鍋店は大規模、中規模合わせて1,557社に上り、何だか分からない食材が1,108kg、スープは104パックに上ったということです。
火鍋店で長年の研究を重ねた専門家曰く、火鍋の中に芥子(ケシ)が入っていることは何ら不思議な事ではなく、「火鍋業界では、古くなった油、香りを着けるための人工香料などを普通に使っている」とのことです。火鍋レストランの発展は著しい一方で、このような消費者からの投書が消えることが無いという状況の下、火鍋業界の信頼は著しく損なわれつつあるようです。
綺麗に洗われていない野菜は炒めたとしても危険です。火鍋では食材を高温で炊き続けることで食材自体の問題を隠してしまうことができます。また、生姜や葱、ニンニクや調味料を大量に投入することによっても既に変質した食材を目立たなくすることができてしまうということです。中華料理は油を出汁とした「火の料理」。日本料理は食材の良さをいかすのに対して、中華は川魚など癖のある食材の臭みを油や調味料で消してしまいますから、食材本来についての意識は相対的に低くなるのかもしれません。
何度も言いますが、中国の駐在員の滞在時には、可愛い女の子と食べに行った火鍋というのは甘酸っぱい思い出のひとつなのです。店に入った瞬間に広がるクミンとニンニクの香りが食欲をそそります。傍らにはコーラ、もしくはスプライトの巨大ペットボトルを置き、一心不乱に肉、野菜、場合によっては海鮮食材を思いっきり頬張ります。火鍋屋さんは女性に大人気です。野菜が美味しく食べられるからです。このようなニュースはありますが、自分は大陸に行けば火鍋を食べ続けることでしょう。私も既に火鍋の、いや火鍋のスープに入っている何らかの成分の、いえいえ、更に言えば火鍋の湯気の向こう側で美味しそうに野菜を食べるあの娘の虜になっているのかもしれません。