滴滴(Didi)が直面する試練と中国政策リスク

配車サービスの勃興と突出する滴滴(Didi)

中国人の生活を確実に変えた中国の配車サービス

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中国の大都市、特に北京、上海の二大都市に旅行で訪れたり、仕事等で生活したことがある人であれば、大都市ならではの交通事項に悩まされたことは少なくないでしょう。

以前はインターネット配車サービスも存在せず、北京の凍てつく冬の空気の中、タクシーが来なかったり、停まってくれなかったりで途方にくれることになります。

しかし、インターネット配車サービスの登場後、生活者は家やオフィス、レストランの中で、スマホを使って車を予約することができるようになりました。しかも、タクシー乗り場や、タクシーの往来が多い大通りに出なくても、向こうから来てくれるのです。これは中国大都市に住む人々の生活を一変させました。

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その中で突出する滴滴(Didi)

中国のインターネット配車サービスの誕生当時、雨後の竹の子のように様々な企業から様々なサービスが提供されました。しかし、現在最も影響力のあるサービスが滴滴(Didi)であることは紛れもない事実です。

中国で旅行したり、生活をする場合、滴滴(Didi)のアプリが使えなければ非常に不便です。アプリをアクティベートするためには、中国国内SMSを受け取る必要があるため、外国人旅行者にとって大きなハードルであり、大きな話題として取り上げられるほどです。

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試練を向かえる滴滴(Didi)

相次ぐ暴行事件

2018年の5月と8月に滴滴(Didi)の女性利用者がドライバーに暴行される事件が相次ぎ、世論が沸騰しました。シェアリングエコノミーにおける安全問題が浮き彫りになったのです。

一部の地域を覗いて、滴滴(Didi)のドライバーになるには特に資格が必要がありません。また、サービスがリリースされた当初、滴滴(Didi)からドライバーに対して多額の優遇策が提示され、大量の一般人がドライバーになりました。それに伴うリスクがここに来て顕在化したのです。

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ドライバーに対する新しい規制の影響

ここに来て滴滴(Didi)のドライバーになるためには、自動車ごとに付与される営業ライセンスが必須化されました。先ほどのような痛ましい事件を繰り返さないために、ドライバーと車に対してのハードルを引き上げ、管理管轄当局を明らかにする意図によるものと思われます。

一方で、営業ライセンスを取得した車は、8年、もしくは走行距離60万kmで廃車しなければなりません。一般の車に対して厳しい基準が適用されています。

例えば自家用車を購入し、滴滴(Didi)のドライバーを2年間だけ続け、その後は営業しないというケースを想定した場合、その後6年乗り続けた後に廃車しなければなりません。

上記の基準に適応できないドライバーは2018年12月31日を持って滴滴(Didi)のドライバー資格を失うものとされています。

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強制廃車基準の適用でより厳しい商売に

一般的に滴滴(Didi)のドライバーは1日に300km走ると言われています。簡単に計算すれば1ヶ月で1万km、1年で12万km走ることになります。そうすると5年で60万kmの走行距離となり強制廃車基準に抵触することになります。

滴滴(Didi)のドライバーが1年で手元に残せる利益(車両購入費用の減価償却、車両維持費を引いた最終利益)は2, 3万元(32〜48万円)と言われています。あまり良い商売とは言えませんね。

この点について、既存のドライバーやこれからドライバーになろうとしている人々の間で様々な議論がなされています。

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今後の課題

新しいサービスはどんどん民間にやらせ、その後、ある程度企業の強弱関係が安定し、かつ生活者や社会に対するリスクが顕在化した後で規制を強化していくのが中国流のイノベーションと言われています。インターネット配車サービスは現在まさに規制強化フェーズに直面しています。

滴滴(Didi)の今後の対応とさらなる当局の規制強化について、日本としても注目すべき事案です。

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