視覚中国”というインターネット上で画像、写真をダウンロードできるサービスを提供するプラットフォームですが、足下で著作権違反の疑いをかけられ、サービスの一時停止と改善を求められており、サイトには接続できない状態が続いています。ここに中国国旗とブラックホールが関わっているのです。

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共産党青年団がSNS上で問題提起をしたことがきっかけ

事は2019年4月11日と12日の2日間に急展開しました。4月11日、中国共産党青年団がSNS公式アカウントの中で、中国国旗と中国国章の画像をを「この国旗の著作権は貴社が保有するものでしょうか?」というメッセージとともに掲載しました。

同日、視覚中国のサイトにおける当該画像について視覚中国が著作権を保有するという声明が出されましたが、その後すぐに視覚中国の創業者である柴継軍より、

国旗の画像は一般人がアップロードしたものであり、既に著作権声明も含めて削除する処理に入っている

とのコメントが発表されました。

天津市インターネット情報オフィスは、柴継軍に対して視覚中国がインターネットサイト上で違法な情報を伝播させた罪の責任を問い、サービスとサイトの即時停止と、改善処分を下しました。

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ブラックホール画像の無断利用が拍車をかけることに

そして、話はここに終わらないのです。日本時間の2019年4月10日に国立天文台などの国際研究チームがブラックホールの撮影に成功したことが中国も含めて世界的な話題となっていますが、視覚中国はブラックホール画像についても、本来保有していない画像を当該サービスの中でダウンロード可能としていたことがインターネット上で発覚、更に招商銀行が共青団と同様に、自社のロゴが無断でダウンロードすることができる状態になっているとの公式声明を出すなど、炎上し続けています。

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視覚中国の責任、賠償額は?

暫定的サービス停止状態となっている視覚中国ですが、国旗の件だけでなくブラックホールの映像についても嫌疑をかけられたことにより、中国の著作権法による刑罰と、民法総則に依拠した民事的責任を負うことになる可能性がかなり強くなってきたと法律の専門家が指摘しています。

一方、この視覚中国という会社、2017年の親会社株主に帰属する当期純利益は2.9億元で前年比+36.0%, ROIも約12%となかなか素晴らしい経営数値を叩き出しています。この数値は上記のビジネスモデルで叩き出したものであり、上述した嫌疑についての責任追及がなされた場合、視覚中国のビジネスに甚大な影響を与える可能性が高まっています。

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中国伝統の”勝てば官軍”戦略を地で行っている視覚中国

権利に甘い中国という話は既に過去のもの、違法ダウンロード天国であった音楽アプリ系も有料ストリーミング課金会員が増加している現在、一般生活者やプロに対して素晴らしいサービスを提供してきたというだけでは逃げ切ることはできない状況になってきています。

一方、逆説的に捉えれば先にユーザーのニーズを満たすサービスを提供することができ、それである程度スケールができれば、その後の訴訟リスクも負担できるところまで行けるということでもあります。「先大後強」という言葉があるように、とにかく先に規模を拡大しスケールメリットを享受できるところまで到達する。適法性も含めて、企業内外の質を強化していくのは後でいいという考え方があります。視覚中国を見ているとこのような言葉を思い出します。

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共産党がSNSをコミュニケーションの手段として使いこなす

もう一つ、今回の事案発生のきっかけは共産党中央青年団がSNSの公式アカウントで問題提起したことです。このように、中国ではインターネット企業だけでなく、政府系もっと言えば、政治圧力団体といえる共産党ですらSNSを活用して自らの組織の権益の確保を行っています。日本と比べると大きな違いであると言えます。

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