中国人の模倣品(コピー製品)に関する能力については日本人も含めた外国人はもとより、中国人自身が認めるところでもあります。「写真が1枚あればコピーができる」という言われ方すらあります。どこまでをコピーと考えるかについては議論の余地があるかと思いますが、一つの事例を考えるきっかけとして紹介します。

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コピーから始まって独自の進化を遂げて成功したファストフードブランド“華莱士”を取り上げます。華莱士は華懐慶と華懐余という華という姓の兄弟が創り上げたブランドです。華莱士が登場した当初、多くの中国人はKFCやマクドナルドと同じく、海外から中国に持ち込まれたブランドであると勘違いしていました。

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華莱士の創始者である華兄弟は浙江省の温州出身でした。温州人には商人の血がながれていると言われています。彼らは普通の勤め人で甘んじることなく、業を起こすことを考えます。もちろん起業の方法は人によって異なりますが、彼らは飲食業を起こすことを考えました。

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ネクタイ屋から始まり、その後靴の製造業を行なっていた彼らは、KFCやマクドナルドなどの西洋由来のファストフードが中国人に流行している一方で、三級、四級都市にはまだ店舗が無いことに注目しました。そして、彼らはKFCをコピーし、さらに価格帯を下げた業態を展開することを考えたのです。

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2001年に華兄弟は1号店を開きました。彼らの創業ストーリーを一言で言うとすればそれは「徹底したコピー」でした。店づくりからメニューまで、KFCのやること全てをコピーしたのです。ただし、前述したように唯一の違いがあります。それはKFCよりも安い価格帯で販売したのです。

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その後、兄弟は店舗網の拡大を開始します。当初は直営店方式でまだ発展していない都市がターゲットです。ただし、直営店方式ではコストがかかり拡大スピードが遅くなるため、その後加盟店(FC)方式を採ることにより雨後の筍のように店舗が拡大していきました。結果として、中国の小都市ではKFCよりも先に華莱士を認知する人が少なくないという現象も見られました。

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徹底的なコピーにより2,000店舗以上のFC店を構えるに至った華莱士は、その後自主開発を行い、今ではKFCとは異なるオリジナルメニューも多数並べるに至りました。中国人のこのようなブランド開発はある意味でメインストリームです。当初の徹底的な模倣から、自主ブランドへ展開していく。たくましいとも言えますし、海外のブランドオーナーにしてみると、中国戦略自体を考える際に、まずリスクとして検討すべき要素と言えます。

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