中国アリババがBMGと楽曲利用で提携 テンセントと真っ向勝負
アリババがBMGとのパートナーシップのライセンス協議についてサインをしました。BMGは250万を越える楽曲の権利を保有しています。この協議が注目を集めている理由は、アリババ傘下のデジタルエンターテイメント部門が初めてアジア以外の音楽出版企業との合作となるためです。
この合作協議の前に、アリババは台湾の音楽系企業2社とのライセンス協議を結んでいます。滚石唱片とHIM International Musicです。重要な点として、アリババは既にEC企業ではなく、中国最大のモバイルインターネット企業の一つであり、テンセントとの苛烈な競争を行っているということです。テンセントは既にワーナーミュージック、ソニーミュージックエンターテイメントとの間で楽曲に関するライセンシングの協議を結んでいます。
アリババの成長計画には、大量のユーザーに対するオンラインサービスの拡充が謳われています。アリババグループ傘下には中国最大のECサイトが複数あり、かつ決済サービス”Alipay”も含めて、莫大なユーザーを抱えています。アリババはエンターテイメントサービス以外にも、傘下の企業に医療保険や、クラウド、金融サービス領域の子会社を抱えています。既にサービスを行っているECプラットフォームで蓄積された情報を利用することによって、信用評価システムまでも手掛けることができます。
中国のインターネット企業にとって音楽領域は潜在力の大きい成長市場ですが、解決しなければならないのは海賊版の問題です。イギリスのフィナンシャル・タイムズの報道によると、2013年でグローバルでの楽曲の売上は150億ドルの市場となりましたが、中国が占めるのはその内わずか1%だったそうです。海賊版の影響によるものであることは言わずもがなです。
しかし、中国政府は既に音楽著作権侵害行為に対する対応を始めています。アリババやテンセントがBMG, ワーナーミュージックやソニーとライセンス契約を結ぶ動きが出ていることは、中国の音楽出版業界が版権上の問題をクリアし始めているということを意味しています。中国ではCDでは儲からないというのが定説で、基本的にはライブなどのリアルな体験で儲けるというのが基本でしたが、音楽が好きな人達であるということは間違いない中で、モバイルインターネットのサービスとしてどのようにローンチしていくのか、海賊版サイトも正式版を売りにしてきている流れがどのようになっていくのか、注目です。