2015年も中国の大学生は就職氷河期 一方で変わりつつある就職・起業を支援する環境

中国大陸で2015年に卒業を迎える大学生は749万人(!)で人数としては史上最多です。しかしここ数年は大陸の大学生にとって就職氷河期が続いています。例えば、2015年3月19日に北京交通大学にて”2015年次卒業生需給マッチング春季大会”が行われましたが、エントリーシートは数千通を越える中で、取材したメディアには「冷静」な雰囲気が見て取られたということです。

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北京交通大学の2015年次の卒業生は大学院生、博士課程を含めて7,014人。足下の実績として、学部生の就職率は31.4%、大学院生は35.1%に過ぎないとのことです。「我々大学の立場から状況を分析すると、募集をかけている企業や機関の数は去年と比べて増加しており、構造上の変化も見らます。国有企業集団の募集が減ったこと、募集プロセスがオープンになり規範化されてきたこと、一部の潜在力のある中規模企業や民間企業の募集が増えたことが挙げられます。ただ、大学卒業生の総数自体も増加していることもあって、去年と比べるそれほど状況としては変わっていないと言えます」とは就職相談所の史貞軍所長の言葉です。

北京交通大学のマッチング大会の現場では、学生が持ち込むエントリーシートは非常に簡素化されている傾向があり、いわゆる”豪華版”は根絶されているそうです。多くの学生は1ページのシートにまとめている形で、結果として費用も安く、見る側にとっては簡潔になっているようです。大学生に対する就職関連サービスも精度が上がり、精緻なものに進化しています。以前の卒業生たちは、どのように自己アピールをすれば効果的であるのか分かるすべもありませんでしたが、例えば北京物資学院では、簡易診断プログラムを準備し学生たちが簡単にエントリーシートの内容を分析することができるサービスを提供し始めています。また、華北電力大学ではwechatの公式アカウントを開通し、求人企業の情報や求人の内容について、立体的な情報提供をそこで行っています。

さて、全ての学生が就職する訳ではありません。学生起業も増えています。北京物資学院では従来の在学生で”創業証”を取得する学生がわずか3〜5名程度だったものが、去年、今年では20以上に増えてきているとのことです。”創業証”とは、201年末に卒業年度で起業する在学生に対して発行している”大学卒業生自主創業証”のことで、当局(人力資源と社会保障部門)に対して”就業失業登記証”を申請することが可能となり、その年度については政府から失業手当などの補助を獲得したり、少額貸付制度を利用ことができるというものです。

一方で、上述した北京市のように大都市で盛んになってきた大学生での起業ですが、それが小規模な都市にまで広がってきているということも話題になっています。中国の4, 5級都市である吉林省の遼源市は家具市場以外に特に何の特徴もなかった小規模都市ですが、昨今若者の間で起業ブームが沸き起こっているそうです。

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5年前に華中師範大学のマネジメントコースを卒業した艾厚宇は武漢家具市場を詳細に観察した後に故郷である遼源市に戻り起業しました。彼は家具販売を生業としている親戚に投資を呼びかけ、遼源に家具屋をオープンしました。そして、その店は現在は既に空になっており、彼はビジネスホテルへ投資を行っています。遼源市の人口は12万人しか(!?)ありませんが、彼のように大学生が故郷へ戻り起業する形が増えてきているそうです。

卒業後に北京、大連、青島などの大都市で仕事に励み、故郷に戻って創業する。これが最近の地方出身の若者ののトレンドになっているようです。”漂泊(北京などの大都市で漂うこと)”よりも、故郷に戻り親孝行をしたいという思いもありますし、地方都市における起業環境も悪く無いということを意味しています。実際、遼源市の創業インキュベーションセンターの中に入っている80の企業の内、23が大学生が起業したものです。艾厚宇曰く、現在は国家による支援制度がとても充実しているとのことです。

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