中国人のビジネス交渉スタイルには日本人とは異なる特徴があります。すべてを理解している訳ではありませんが、今回の上海でセッティングしたビジネスミーティングを一例に紹介します。

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今回、日本の大学はその付属校を中国に展開することを意図して、中国側の学校に関する土地・建物開発を行うコングロマリットと、日本の学校法人とを面会させる機会を持ちました。上海の花園飯店の33F, 現地の日本企業、日本人には馴染みの深いクラシックなバーで行われた際に気づいたことです。

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トップ同士は並び合うスタイル

習近平や李克強など中国のトップが海外のトップと会合をする際に、日本のマスメディアなどで相手と横並びで座って話をする画像に馴染みがある方もいらっしゃると思いますが、中国の学校運営事業を傘下に持つ企業集団の、学校運営部門のトップと、日本の大学を運営するとある学校法人の国際関係部門のトップ、双方ともに中国人ですが、2人は大きなソファーに並び、我々、案件を企画したメンバーは個別に椅子に座る形態をとりました。

一般的に、向かい合うのは敵対関係、並び合うのは友好関係であると説明されることもありますが、向かい合う我々チームメンバーを媒介に、本来意思を伝えたい対象である隣に座る相手方と関節的に話をしやすくなります。

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意外と直接的ではなく、奥に本音を含ませながらの探り合いを続ける

中国人はダイレクトなコミュニケーションで物事を即断で進めていくという印象がある方も多いかと思われますが、実際の交渉はそうでもありません。お互いに相手方の腹を探りながら、間接的に含ませた本音を少しずつ相手にぶつけていくやり方をとることが多く見られます。

また、相手のやり方をその場で否定することもあまりなく、総論は賛成で各論は実務レベルの担当者で詳細を詰めてくれ、というケースが少なくありません。今回も、日本の学校法人側は案件についてはそれほど前向きではありませんでしたが、相手方の中国企業に対してそれを直接的に伝えることはなく、彼が席を立った後で、我々チームメンバーに本音をぶつけてきました。

メンツを重視する中国ならではの配慮と言えます。

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会議参加者に対して均等に話をする

これは意外かもしれませんが、中国の要人が話をする際、その方の立場が相当上であったとしても、話をする際に参加者全員にアイコンタクトをしながら話をすることが多いのです。日本人が会議をする際には相対的、かつ感覚的な話になるかと思いますが、硬い表情で当事者間でコミュニケーションをするのに対して、中国人は参加しているすべての人間に対して自然に均等にアイコンタクトをしながら話をするのです。

人間的、友好的なやり方であるとも言えますし、一方で、その場にいる人間がどのような人間であるのか、それぞれに対して自分がどのような意見を持って対峙しているのかについて、意識的であるとも考えられます。お互いのコンテクストを暗黙的に理解できる島国と、そうではない大陸との違いを表しているのかもしれません。

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長いのには理由がある

今回、18時に花園飯店に集合して解散したのが24時でした。もちろんチームメンバーが先に入り、21時に両トップが合流したのですが、それでも2時間程度は意見交換を続けました。前述したように本音を奥に含ませながら、相手の意図を探り合うやり取りを、チームメンバーを媒介にしながら、雑談やたとえ話を入れながら延々と続ける訳です。

また、その会合を準備するために3時間前にはチームメンバーが集まり、更に終わった後で日本の学校法人の国際部門のトップと、彼の本音と今後の進め方について1時間ほどのラップアップも行いました。

交渉事ですべてが進んでいく中国では、ビジネスミーティングの失敗は致命的です。ですから、日本人以上に本番に向けた準備を丁寧に行い、かつ本番での集中力も最大化していくのです。

以上、肌感覚は伝わったでしょうか。一見、凡庸に雑談をしているように見える中国人同士のビジネスミーティングですが、水面下では熱い勝負が交わされているということです。

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