中国企業の海外M&A件数が過去最多を記録、内容も安価な資源の獲得から川下のクオリティ重視へ
中新社北京は1月27日に、Price Waterhouse Coopers(PwC)が、2014年の中国大陸企業による海外M&A案件数が急増しており、増長率が40%に近づき過去最高を記録したとを発表しました。
PwCは「2014年中国地区企業買収の記録と2015年の展望(意訳)」を27日付で発表し、2014年、中国大陸企業が海外でM&Aを行った案件数は272件、2013年の200件と比べて36%増加したことを発表。巨大案件は少なかったものの、2014年中国企業の海外買収取引高は569億ドルと、2012年の669億ドルという過去最高地に匹敵したとのことです。
ちなみに、IT Media エグゼクティブによると、レコフ集計で、2014年の事業譲渡や出資を含む日本企業による海外M&A件数は1~11月で489件、金額では1~11月の合計で5兆394億円です。すなわち、件数ベースでは中国は日本の半分程度ですが、金額ベースではほぼ同額の水準に並んだという形です。
M&Aの実施地域としては、
北米で96件
欧州で83件
アジアで64件
オセアニアで17件
アフリカで7件
南アメリカで5件
となっています。
報告書によると、2014年の中国民間企業の海外M&A数は国有企業よりも多いこと、ファイナンシャルインベスターとプライベートエクイティ(PE)の存在感が初めて際立ったことを伝えています。
投資者のタイプごとに特徴が出ています。中でも、国有企業は工業、資源、エネルギー産業への投資が多く、民間企業は材料技術やブランドを獲得し中国市場で勝負するという特徴が見られました。
全体から見ると、中国企業の海外におけるM&Aは多様化の兆しが見られます。PwC中国の企業M&Aサービス部パートナーの路谷春によると、「伝統的製造業を除けば、エネルギー、電力、新エネルギー領域における投資が見られました。以前は、安い資源の獲得に偏っていましたが、現在のM&Aのトレンドは価格ではなく、品質に向かっていると言えるでしょう」と語っています。
路谷春によると、見通せる将来の範囲では、中国大陸企業の海外でのM&Aが増加するトレンドはこれからも継続するだろうとも見ています。「毎年、30%以上の成長率となるかは言い切れないものの、中期的に見た場合明確に上昇トレンドを示すでしょう」。
また、直近、中国は資本取引における純輸出国となったものの、資本輸出額のGDPに閉める割合は欧米の水準から微々たるもので、逆に言えば、中国の海外M&Aには非常に大きい成長余地があることを意味していると、分析しています。