中国食用犬は今でも毎年1,000万匹消費、ペットや番犬の誘拐も多発
愛犬家の方はこれ以上読まないことをお勧めします。
NPO法人アジア動物基金(AAF)が2015年6月9日に、中国の”食用犬サプライチェーン”に関する報告を提出しました。この調査はAAFが中国国内で4年間に渡って毎年報告を行ってきたもので、対象は
- 110の食肉件の小売店
- 66のレストラン
- 21の食材市場
- 12の食用犬屠殺場
- 8の食用犬養殖場
- 8の食用犬肉メーカー
- 4の検疫所
- 3の大型動物卸売市場
- 28省に渡る771農村の農民たち
となっており、かなり大規模なものです。その結果としては、
- 中国で犬肉として食に供される犬は毎年1,000万匹
- 中国には未だに100匹以上規模の大型の食用犬養殖場はもはや存在しない
- 農村で飼育されている犬のうち99.6%は営利目的ではなく、93.6%が番犬やペット
- しかし、農村で調査された結果では、70%の農村で飼い犬の失踪事件が発生
- そして回答者の75.9%が食用犬として誘拐されたことが原因だと回答
- 更に、60%の村で狂犬病の注射の接種率が10%を下回り、38.9%の村で誰も注射をしていない
という状況だったそうです。簡単に言えば、今でも毎年1,000万匹もの食用犬が食卓に供されており、その内のかなりの数が農村で番犬やペットとして飼われていた犬であるということ。更に、その内の殆どが狂犬病対策をされておらず、狂犬病のように人にも感染する病原体を持った食材が食卓に上がっているという現実的な話でもあります。
100匹以上の食用犬を養殖する養殖場が存在しないとありますが、具体的な食用犬の育て方は、次のようになります。養殖企業が幼犬を周辺の農家に販売し、農家が成犬になるまで育てた後に、養殖企業が高く買取るという形です。AAFが訪問した20ヶ所の農村の殆どで同じような形式が採られていたそうです。以前は大型の養殖場も存在しましたが、病気の発生などでコスト高となり、農家に代理飼育をしてもらうモデルに変わっていったとのことです。
編集後記
AAFの話では、中国政府は”動物愛護法”の整備を進めているとのことですが、日本の調査捕鯨やイルカ問題のように伝統文化的な側面もある中で判断がなかなか難しいですね。社会における道徳規範や正義とは何であるのか、少数意見をどう取り上げていくのか、冷静に議論を進める必要がありそうです。