中国の大学生の就職先で外資系の求心力低下、浙江大学卒業生が最も高収入
中国教育部が直属の75地区の大学について、2014年の卒業生年度報告を発表しました(以下、年報)。中国青年報の貴社の結論によると、学校の所在地が、大学生が就業する場所の最初の選択肢になっていること、国有企業への就職が依然として強いものの、民間企業への就職も勢いが上がっていること、学生の中でも幹部をやっていたり成績優秀であると高給を獲得する可能性が高いということでした。
就学地が就職地となる可能性が高い
教育部直轄75地区の大学の内、卒業者の就業地を答えたのは69地区の大学。
例えば、北京の大学で卒業生が北京に残る確率は、
・北京大学:56.2%
・人民大学で52.7%
・北京化工大学:42.9%
・北京交通大学で37.7%
でした。
・復旦大学(上海):75.7%
・南開大学(天津):52.2%(学部生)、51.8%(院生)
・大連理工大学:24.6%(学部生)、20.4%(院生)
とあるように、北京だけの特徴ではないようです。
では、中西部ではどうでしょうか?
・中国地質大学(武漢):30.5%(湖北省)
・合肥工業大学:31.1%(安徽省)
就学地に関わらず、就業地として人気が高いのはやはり北京、上海、広州、深セン、納得ですね。
注目すべきは、中西部の発展政策(西部大開発など)の影響もあり、東部地区で卒業した大学生が中西部で就職する割合が少なくないこと。清華大学の卒業生が中部、西部で就職する割合はそれぞれ6.2%, 10.3%で。華北電力大学の卒業生にその傾向が強く、西部で就職した学部生が18%、院生が15.7%だったそうです。
国有企業が依然として強いものの、民間企業に勢いあり
75地区の大学の中で、985校の学部生の内、大学院への進学率は30%以上(高いところでは40%以上)でした。例えば、西安交通大学では46.7%, 北京大学では46.4%でした。
「三資企業」と言われるいわゆる外資企業の時代は既に終焉を迎えたようです。985大学の卒業生で外資企業に就職する割合は基本的に10%以下、例えば、人民大学の院生では4.9%、北京師範大学の学部生ではわずかに1.8%でした。
同じく985大学から見ると、国有企業への就職率は、例えば、大連理工大学の学部生で32.1%, 東北大学の学部生では48.6%, 院生では52.7%と非常に高いシェアでした。
一方で、民間企業については、西安交通大学の院生が民間企業に就職する割合が28.8%, 一方で国有企業が28.2%と僅かに逆転。また、中山大学の学部生の42.9%が民間企業に就職し、国有企業に向かう24.4%を超えている例も見られます。2013年の年報と比較した結果、国有企業の比率が下がり、民間企業の比率が上がっているということです。
幹部活動者、成績優秀者がより高い年収を手にすることに
学部卒業生と大学院卒業生における、就職後の月収の差は約1,000元(約20,000円)。例えば、湖南大学の学部卒業生の平均月収は約4,145元(約8万円)、院卒で約5,355元(約10万円)。厦門大学の学卒で約5,037元(約10万元)、院卒で約6,048元(約12万円)など、約2万円の差が見られました。
中でも浙江大学の卒業生の月収が最高額を記録しており、学卒で約5,225元(約10万円)、院卒で約7,750元(約15万円)です。一方で北京中医薬大学では、卒業生の35.5%が月収で約2,000元(約4万円)という極めて低い待遇になっているところも見られました。
学生の視点で見た場合、学生時代に幹部活動をやっていたり、成績優秀であることだけでなく、親の収入レベルが高いことが、高収入につながっているとのことです。
ここからは私見です。浙江大学の卒業生の収入が高いのは、「浙江商人」と言われる民間資本が強いお土地柄で、アリババなどの優良企業を排出しているお土地柄を考えると納得できます。浙江省への留学、これから面白いと思います。
外資系企業への就職率が絶対値として低く、かつマイナス成長になっていることは実際のデータで検証されました。中国における外資系企業の採用担当者にとって頭の痛い問題です。特に日系企業は、教育には一定の評価はあるものの、日本人以上に出世できないという見方がされていますから、相当に工夫しないと良い学生をとることはできないということになりますね。
また、大学を卒業したとしても2,000元程度の月収に甘んじるケースも見られますし、データの裏側には大学を卒業しても就職できない人が多くいるでしょう。更に、「親の収入の多寡が、学生の収入の多寡に連動する」というのは、グローバルでも同じことが言われていますが、なかなか厳しい現実です。
同様に、留学のデータも見たかったです。
年報のローデータ、時間があればチェックしてみます。
ソース:新華網、中国青年報