2015年中国人の旅行先のトップが日本に?銀座と寧波, 蘭州の旧正月
中国、中国人に関する両極端な2つの記事をお見せします。どちらも新華社通信の記者の目によるもので、その2つの記事にある違いと、背景に共通する部分や大きな流れを感じて頂きたいと思いピックアップしました。
まずは日本に大挙して押し寄せる中国大陸人観光客の姿です。
日本の小売店は中日自動翻訳機を準備して中国人観光客を歓迎(新華社)
新華社東京が2015年2月21日に伝えた日本当局が提供した数値によると、2014年1月だけで日本政府が中国人に発行した旅行ビザは25万で過去最高を記録した。中国からの春節の観光客がショッピングで訪れるのを迎えるために、三越、松坂屋な大型百貨店では中国語トレーニンググループを設け、一部のスタッフに中国語のトレーニングを受けさせている。日本の小売商は中国からの観光客の巨大な消費能力が日本の小売市場を成長させることを期待している。
中国経済のハイスピードな発展に伴い、国民の生活レベルは上がった結果、海外旅行は中国人の休暇時の重要な選択肢となった。中日関係は低迷が続いている一方、2014年に日本へ旅行した中国人は大幅に増加。日本で旅行業を管轄する観光庁の発表した統計によると、2014年中国大陸からの観光客はのべ241万人で2013年と比べて83%も増え、増加数では最大の国家となった。
中国旅行局日本駐在代表所主任である張西龍曰く、2015年春節期間中に日本を訪れる中国からの観光客は過去最高を記録することが予想されており、中国大陸人にとって2015年の旅行先として、台湾、韓国を超え、日本が最大の旅行先となる可能性が高いとのこと。
訪日中国人観光客の大幅な増加の原因は、円安による旅行コストの大幅な減少、日本の旅行資源の豊富さ、ショッピング環境の良さ、中国と日本を結ぶ飛行機便の輸送能力の増加、日本政府が旅行ビザの発給条件を緩和したこと、そして中国人の東南アジアに対するブームが下火になったことなどがあげられる。
日本政府や小売業界が中国人観光客を正に「熱烈歓迎」するのは、中国人観光客が日本で物凄い消費能力を発揮することであり、日本としてはより多くの中国人に訪れてもらい、低迷する日本の小売市場への活力になって欲しいとの期待があるようだ。
日本の観光庁が発表した統計数値によると、2014年に日本を訪れた外国人観光客は1,341万人。総消費額が2兆305億円、1人あたりの消費額が15.2万円とのこと。その内、中国人が241万人、消費総額が5,600億円、1人あたりの消費額は23.2万円とされており、韓国人の1人あたり消費額のなんと3倍、台湾人の2倍というから驚きだ。中国大陸人の消費能力は日本の小売業界にとっては「上客」である。
春節期間、日本の各大型百貨店と免税店は十分な準備をして中国からの観光客を受け入れている。日本の高級百貨店である三越伊勢丹はアパレルデザイナーを招聘し、中国人の男性の体系に合わせ、特に良い材料を採用して、日本国内設計によるウールとシルク素材の高級スーツを生産した。東京における大部分の免税店と大型百貨店には中国語を話すことができるスタッフを配置している。一部の店では中国語を日本語に自動翻訳する機器をスタッフに持たせている。中国人観光客が日本でショッピングを行うにあたって、言葉の不便さを感じることは殆どないだろう。
円安で買い物のコストが大幅に下がったのが中国人観光客が日本に訪れている重要な目的のひとつだ。記者が東京で多くの免税店にて中国人観光客が興奮して買い物をしている姿を見ることは少なくない。お店のスタッフ曰く、中国人観光客が好んで買っていくのは、化粧品、小型家電、海外ブランドバッグや時計などの贅沢品であるとのこと。
中国人観光客が急増したことは、中国のレジャー、飲食業にとっての朗報である。中日間で旅行業務を行っている企業には更に直接的な利益となる。主にこの業務を行っている、日中旅行社は既に数年前からの苦境からは完全に抜け出し、2014年に利益が大幅に伸び、今年は更にそれが伸びるて過去最高益を記録することが見込まれているという。
なかなか強烈ですよね。そして、その猛烈な消費力に頼らざるをえない、もしくは積極的に取り込んでいこうとする日本の小売業界の姿が浮き彫りになっています。さて 次は、同じく新華社による、浙江省、甘粛省における春節(旧正月)の変化を、贈答品から見た記事を紹介します。舞台は東京銀座の洗練された爆烈ショピングストリートから、寧波や蘭州などの地方級の大都市に移ります。
「成金風味」から「人情味」へ変化する春節贈答品市場
新華社北京が2015年2月21日に伝えたところによると、浙江省や甘粛省蘭州市などで、今年の春節期間中の贈答品には簡素なものが増え「暖かい」感じがますます増えており、「土豪(成金)」風味が薄れてきている。
浙江省の寧波市にある小さなショッピングセンターで、贈答品のお店を10年近く経営している沈社長曰く、いつも新年には様々な意匠を凝らした赤く包まれた装飾品が見られる、と。沈社長のお店は10平米に満たない大きさだが、赤い「福」の字、結びもの、灯籠、「対連(ドアの左右に貼る文字)」、五穀豊穣など100種類もの商品がお店の外にまで溢れていた。
浙江省杭州市の鳳起路にある花卉市場では新年の熱気とバレンタインデーの甘い雰囲気だ。花屋さんのお客さんは少な目だが、観葉植物店は物凄い熱気だ。観葉植物店の陳社長に話を聞いたところ、現在、消費者は皆、健康に気を使っており、以前は酒やタバコを送っていたのが、今では観葉植物を親戚や友達に送ることが「新潮流」になっているとのこと。「胡蝶蘭や一帆風順(Krause)、平安樹などが今年の室内観葉植物では人気です。美しい新年を迎えることができ、環境も綺麗になります。多くの消費者に選ばれています」。
陳社長は消費者の植物の選択における変化について、消費者の心理の変化の表れであるとする数年前は「発財樹」、「金銭橘」、「富貴種」などが好んで選ばれていた。これは受け取る相手がより経済的に豊かになって欲しいとい気持ちを託したものだ。しかし、現在は平安や健康、幸福を祝福する傾向が見られるとのことだ。
甘粛省蘭州市にある一軒の大型スーパーの棚の上には129元の厳選穀物プレゼントセットが多くの市民の注目を集めていた。それぞれのセットの包装は同じではなく、透明なプラスチックであるため、中身がどれくらいあるのか消費者は見ることができた。蘭州市民の薛涛氏は、昔はほとんどの贈答品には綺麗なパッケージが施されているにも関わらず中身が少ないというものだったが、今年は選ぶ時にその心配をする必要はなさそうだと語った。
以前は落花生やミルク、ケーキなどの日常品を、一年の終わりということで過度な装飾で包むことにより中身は安いものだが、高い身分に変えていた。それが今では原点回帰、こうした状況は少なくなった。蘭州市の春節の贈答品を販売している店の経営者は、多くの店で過剰包装をやめた結果、コストが下がり、商品価格も大幅に下がった。ここ数年の状況から見れば、過剰包装の時代は終わったと言える、とのこと。
専門家は、簡素な包装の出現は、小売側が消費者のニーズに応えた形で、社会全体が浪費から節約で新年を迎えるという新しい潮流を現していると言う。「過剰包装」を捨て、「人情味で包み込む」ことがこれからの社会でますます受け入れられていくだろう。
編集後記
如何でしたか?いきなり、中国のローカルな春節の風景が頭に浮かび上がってきたのではないでしょうか。銀座や秋葉原で1人あたり23万円を消費して化粧品やブランド物を買い漁るのも中国人であれば、相手の健康を想い観葉植物を買ってあげたり、透明で中身が見える包装なので量のことであれこれ心配をすることがなくなって安心しているのも中国人です。
自分が知っているだけでも、中国大陸の変化は本当に激しい。そして日本とは比べ物にならないくらいの経済格差が存在しています。自分が最初に中国で仕事をした2002年当時と2015年の現在では、それこそ色々なものが全く違っているはずです。この間に、オリンピックがあり、万博がありました。地下鉄が張り巡らされ、飛行機で出張や旅行に行くことが当たり前になり、爆発的にお金持ちになった人もいれば、都市部でチャンスをつかめずに地方都市や農村へ帰っていく若者もいます。それでも前を向くことができるのは、国全体が成長しているからです。昨日よりも明日はきっと明るい、だからこそリスクをとってチャレンジしよう、結実した成果はしっかりと味わおう!そして、衣食足りたら礼節を考えよう、というダイナミックなパワーがみなぎっているのです。
一方で、2015年中に中国人の旅行先として日本が最大となる可能性が高いという内容がありました。日本にはそれだけ魅力があるんです。今は、記事に書いてあるように、化粧品やブランド物に代表される円安消費に目が向けられていますが、本当にそれだけでしょうか?東京だけではなくて地方も、ショートステイだけではなくてロングステイも、モノに対する消費からコトの体験に対する消費へ、ポテンシャルはたくさんあると思いますが、今までと同じようであれば、いずれ飽きられてしまうでしょう。行政の規制、受け入れる側の工夫など色々と解決すべき問題は多いですが、根本は顧客目線、外国人の目線にどれだけ立てるかどうかが鍵を握ると思います。身の回りにいる中国人や外国人、彼・彼女たちが何を考えているのか、たまにはしっかりと聞いてみては如何でしょうか。
いよいよ本気のインバウンドに対するお問い合わせ
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