中国初のP4実験施設が武漢に完成

中国で初のP4実験施設が武漢に完成しました。P4はBSL(バイオセーフティレベル)4とも呼ばれ、最高レベルの感染症に対応する研究環境を意味し、世界でも日本を含めて15カ国程度にしか設置されていません。日本にも国立感染症研究所(武蔵村山市)と理化学研究所(つくば市)の2箇所存在しますが、住民の反対に合ったためレベル4の運営はしていないそうです。

SARSのパンデミックを経験し、鳥インフルエンザが後を絶たない中国において、感染症や伝染病に関する研究は非常に重要だと認識されており、このP4実験室設立のニュースはかなり大きく伝えられています。今回の建築にあたっては、設計からフランスと共同で実施していることもあり、中国科学院が入っていることからも、ハードウェア的には問題はないでしょう。問題はソフトウェア、オペレーション。高速鉄道(新幹線)や地下鉄でも、運用当初は事故が絶えませんでしたから、今回も多少の問題は発生すると思われます。無事に立ち上がることを祈ります。


新華網武漢は2015年1月31日に、中国で初めての「バイオセーフティレベル(BSL)」が最高(4)の実験室、中国科学院武漢国家安全実験室(武漢P4実験室と略)が31日に武漢にて竣工(完成)し、中国が正式に病原体の研究と利用を進めるハードウェアを手に入れました。将来的に、実験室の中でエボラ出血熱に関する研究を行うことができます。

武漢市に完成した中国発のP4実験室

武漢市に完成した中国発のP4実験室

過去30年、地球規模で新型の伝染病が猛威を振るっています。数年ごとに新型の伝染病疾患が出現し、世界経済と社会の発展に重大な影響をもたらしています。2014年から、アフリカなどの地区においてエボラ出血熱が発生し、人類にとって伝染病の怖さを再認識させるに十分な勢いを保っています。

伝染病の感染力と危険性について、国際的に研究室、実験室はBSLにもとづいてP1, P2, P3, P4の4段階が設定されています。P4実験室は、最も活性度が高く感染度の強い病原体と大型装置を用いる、人類が現時点で設置できる最高等級のBSLの実験室です。

ここに至るまで、中国にはこのような研究条件はありませんでした。世界では、フランス、カナダ、アメリカ、スウェーデンなど20カ国のみがこのような研究室を保有しています。

2003年、中国でSARSのパンデミックが起こりました。専門家によると、新型の伝染病の流行は人類の健康に十大な脅威をもたらすため、研究者たちにとっての最大の挑戦となります。同時に、中国には、このような新型の急性的な伝染病や、新型ウィルス、公衆衛生に関する基礎的な研究も含め、経験が不足しています。

2003年7月、中国政府はP4実験室の建設を開始、10年を経て世界最先端のP4実験室を完成するに至りました。武漢P4実験室は中国科学院と武漢市人民政府が共同で、国際的なバイオセーフティ実験室の要求と中国の関係基準にもとづいて建設したものです。また、この実験室は、フランスのリヨンP4実験室の技術と設備を導入しており、中国とフランスが共同で設計を行いました。

フランス政府と議会の担当秘書官は竣工式の祝辞で、この日は中国とフランスの医学共同研究において非常に重要であり、両国政府はこの華々しい出来事への貢献を感謝すると述べました。世界の衛生環境において、中国で初めてとなるP4実験室が、中国と世界のバイオテクノロジーに関して多方面での共同研究の場となって欲しいということを話しました。

実験室の美女

記者が更に取材した内容によると、P4実験室は武漢市江夏区にある中国科学院武漢分室の中に設置され、実験室の内部はハンガーで吊るされている構造、4層からなります。一番下の層は汚水処理と生命維持系統である空気供給システム、二番目が実験室で、三番目が濾過システム、二番目と三番目の間には配管があり、最上層には空調システムが設置されています。

「いわゆる、1, 3, 4層と配管系等が第2層の実験室を正常運行するために、負圧による一方向の気流を作り出します。室内にあるものを外に持ち出すことは不可能で、外にあるものを室内に持ち込むことのみが可能です」。中国科学院分室の室長で、P4実験室の主任である袁志明の言葉です。

室内の第二層、実験室の区分ですが、3つの細胞実験室、2つの動物実験室、1つの動物解剖室・滅菌消毒室などがあります。

実験室の技術エンジニア総監である董践潇曰く、周辺環境安全を保証するために、各方面からP4実験室への侵入経路は全てセキュリティコントロールがされています。実験室で排出されるガス、水、物質などは濾過系統で処理がされます。気体は濾過器、液体は活性毒素排水装置、物質については二重扉型の滅菌器などで処理がなされます。

中国科学院院長である白春礼によると、武漢P4実験室は中国公衆衛生システムの中で最重要な機能のひとつであり、中国が新型伝染病、ウィルスへの対応能力を向上させ、ワクチンの開発などへ繋げる重要な要素であると言います。

国家衛生委員会の主任である李斌によると、中国初のP4実験室は世界の1/5の人口の健康福祉に繋がると同時に、国際的な伝染病を防止することに貢献できると力説しています。

新華網

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